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タミヤの男前プラモが教えてくれた「オトナだから許される好き嫌い」の話。

 親に感謝することがあるとしたら、ひとつは自分を偏食にしなかったことだ。物心ついてからは幸いにして食べ物のアレルギーもなかったし、とにかく食べ物を残すこともさせなければ子供特有の舌に合わせてメシを選ぶこともしなかった。気がついたら嫌いな食べ物はアスパラガスだけだし、いまもアスパラガスは大嫌いだ。逆に言えば、「アスパラだけが嫌いです」というのがひとつのネタみたいにして暮らしてきた。

 いざ大人になって自分で料理を作ったりどこかに食べに行ったりするようになると、むしろ「好みのもの」と「そうでもないもの」がハッキリしてくる。冷静に考えたら好んで食べるわけじゃないものというのはいっぱいあって、出されて残すようなことはしないけど自分がスーパーで買うかと言ったらまあ絶対買わないな……という食べ物もある。卯の花とか。

 そういう感覚で「好んで買わないな」と思っていたプラモがタミヤの1/35 アメリカMPセットなのだが、その理由は我ながらじつにくだらないものだ。パッケージのめちゃくちゃカッコいいアニキふたりは最高だし、ハーレーのWLA45だっていかにもアメリカンな感じがかっこいい。だけど、子供心に上の写真の風防が嫌だったのだ。ハリウッド映画に出てくる警察官のバイクもこういうウインドシールドを付けているのをよく目にするが、その形状がどうにもすべてを台無しにしている感じがするのだ(自分でも理由はわからない)。あと透明パーツを塗るのって、タミヤMMのなかではちょっと異質だと思う。

 とはいえ、「1/35のバイクとアニキ」にハマったのをきっかけに「好き嫌いはダメだぜ……」と自分に言い聞かせながら買ってきたわけ。タミヤのMPセットを。ハコを開けてぶったまげたね。

 説明書のド頭でズラリ居並ぶゴーグル装着のMPアニキたち、だれも風防付けてないじゃん!なんだよ、君たちも卯の花は苦手かね!よしよし、オレとは仲良くなれそうだ。

 あ、風防の取り付けは自由って書いてあるじゃない!そうか、食べなくても良かったんだ、って。プラモというのは案外、選択の遊びだ。というか、選択が全てなのかもしれない。どれを作るか、どう作るか、自分の好みと仕上がりは合っているか……。オトナだから、ハコに入っているもの全部を使わなくてもいい。そういうことに気づけたのも、エイヤと買ってみて、箱の中を覗いたからだ。買ってみなければ肯定できない「自分の好き嫌い」というのも、ある。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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