

タミヤ ミニ四駆と正座で向き合う年末年始だった。「使わないミニ四駆コースあるけど欲しい?」と友人が置いて行ったこのコースセット。最初は「いや、これミニ四駆のコースではないよな!?」と笑ったものだが、問題なく走行させられたしミニ四駆がカッ飛ぶさまには謎の刺激があった。そしてはたと気づく。タミヤが研鑽重ねてきたミニ四駆40年の歴史において「モータースポーツとしてのミニ四駆」という側面を私が今まで見つめてきてなかったことを。「ジャパンカップという大会が盛り上がっている」という情報がたまに視界に入る程度であった。

ちなみにこのアリイ(現マイクロエース)の『立体8の字四駆コース』は同社のミニ4WDジュニアシリーズという商品展開の流れなのだろうか。第1次ミニ四駆ブームを体験しているのにまったく記憶にない。歳月を経て「コレジャナイ」をくらうとは味わい深い。

そう、ミニ四駆には「簡単に作れるイージーキット」という出自があり、それに則り1/32スケールモデルとして自分は楽しんできた。価格も工数もカジュアルなうえ電池で走行するし、その機構を組み立てる楽しさもある。キットを充分にエンジョイしていた。しかしだ、地方都市の家電量販店であってもミニ四駆のグレードアップパーツのコーナーは充実の品揃え。専用コースを併設しているわけでもないのに、ミニ四駆をコースで速く走らせるための提案を用意している。なぜ、どうして? これは自宅にコースが設置された今、タミヤがミニ四駆で何を高めてきたのか確かめる機会なのでは? 年末年始の連休の課題としてはもってこいだ。息子も喜ぶし。たぶん。

『ダッシュ四駆郎』の第1次ミニ四駆ブームの時は小学校卒業する間際で、完全に適齢期を過ぎていた。ガンダム逆襲のシャアを観にいってナナイ・ミゲルのガウン姿に「これがリアルか!」と鼻息荒くしていた自分だったので。その後なんどもウェーブがあり、コロナ禍の引きこもり需要きっかけが第4次ミニ四駆ブームなのだそうだ。その都度、シャーシや改造パーツが更新され続け、今はどこから触れたら良いかわからずいったん目が泳いだ。そんな中、店頭で目についたのが「ミニ四駆REVシリーズ スターターパック」シリーズだ。FRPステーに無数のローラー、そして謎のウェイト。モーターも強いらしい。もう「ミニ四駆モータースポーツシーンの模型」でしかない。とりあえず改造ミニ四駆的なものが欲しかった自分なので大満足の内容だ。

AR、MA、FM-Aという現在進行形のシャーシをベースにスターターパックはラインナップされている。重量配分、パワートレインに差異が大きく、実走行での個性もそれぞれ強いのだろうと想像できる。合わせて近年のシャーシには様々な配慮が施されてたことが見えてきた。このローラーとかコース壁面に接地する回転体ゆえ、ゲート切り残しで摺動に支障がないようにアンダーゲート的な工夫がされていた。子供のニッパーさばきでも二度切りすれば問題ないだろう。速く走らせるための機能部品においても「簡単に作れるイージーキット」としてユーザーに「技量」を求めていないことにシビれる。

イージーキットであることを担保するもうひとつの理由、専用シールが塗装ナシでも見栄えを満足させてくれる。貼りやすさも合わせて、今のミニ四駆のホイルシールはたいへん上質だ。今回のスターターパックのエアロ アバンテのシールを貼りきると、金属やカーボン調のグレードアップパーツと合わせてルックスの総合値が爆発。メチャかっこ良い。キラリと差し込まれたホイルの輝きが大変リッチ。まさにカスタムカーだ。

グレードアップパーツの単価が数百円なのでつい手が伸びてしまう。そこにあれば買う。沼が私を呼ぶ声が聞こえる。そもそもだ、ミニ四駆のお手頃感がスゴい。機能部品が盛り込まれてこの価格帯。高騰し続けるキャラクターもののプラモや完成品に対して、ミニ四駆の変わらぬ価格設定にはイージーキットとしての矜持すら感じる。
グレードアップパーツの効果はどれほどあるのか? そもそもこのミニ四駆はどれほどの速さなのか? モータースポーツを楽しむうえで明確にしたいのが走行タイムだ。なにか調子の良い機器がないかと物色すると『Mini4 Lap Timer』というスマホアプリを見つけた。コースをカメラで捉えられるようにスマホを固定すればラップタイムと総タイムを集計してくれる。結果を数値化してこそのモータースポーツ。ノーマルのまったく同じミニ四駆を組んでもタイム差が生じるので、その要因を探りはじめたらもはやエンジニアリングでしかない。大会にエントリーしたり機材に大きな投資をする前に、基礎的なパーツ交換やグリスアップで効果を確かめていくだけでもメチャ楽しい。

レギュレーションあってのモータースポーツ。アリイの「コレジャナイコース」でも楽しめている今なのだが、公式コースでの結果を見つめていきたい欲がわいてくる。タミヤ純正のジャパンカップ ジュニアサーキットの導入が頭をよぎる。息子も喜ぶし。たぶん……。