アナタにも必ずできる!小さなジオラマでプラモデルを外に連れ出す、40分の旅支度。

 バイクを塗りたい、からの……フィギュア塗りたい。そして、塗れてしまった。ヘルメットの憲兵はほとんど指定通りに塗ったけど、オートバイにまたがったアニキにはおもいきり自由な格好をしてもらったつもり。白い背景でいつものように撮影。悪くないけど、せっかくだから情景を作ってみようと思った。ちなみにミリタリーモデルの情景を作ったことはない。あなたも、私も、初めてだ。いろんな人のやりかたを見よう見まねで試す、秋の小さな冒険に出かけよう。

 新木場の「WOOD SHOPもくもく」で買ったエンジュの角ブロック。杢目がキレイだし、ニス加工しなくてもまあまあ重たそうな木の雰囲気を出してくれる。上の面だけ施工したいから、まずはぐるっとサイドをマスキング。下のほうは、まあそんなに神経質にならなくてもいいでしょう。

 タミヤの情景テクスチャーペイントを塗り広げて地面にする。ダークアースそのままでも良かったけど、少し明るくしたくてライトサンドを混ぜた。真剣に考えているというより、いきあたりばったり。でもこうやって「なんだか自分だけの工夫をしているな」と思える時間が楽しいのだ。

 路端に草が生えていると嬉しい。ヨドバシカメラの模型売場をウロウロして、一番気に入った色の草を買ってきた。毒々しい緑でもなければ、枯れてパリパリになったのでもない、落ち着いた色の草。着色されたごくごく細い繊維のようで、吹けば飛んでしまう細かさ。袋の端をちょっと切って小皿に少量だけ出し、残りはクリップで止めておけば良さそう、なんてのも朝の冴えた頭だと思いつく。急いでバリッと開封したら、大変なことになるところだった。

 草を生やしたいところを決める。そこに水で溶いた木工用ボンドを塗って、上からピンセットでパラパラと草を撒く。案外すぐに固定されるので、定着しなかった草をフッと吹き飛ばす。思ってたのの5倍簡単だし、10倍楽しい景色が現れる。情景、すっごいじゃん。

 上から構図を見て、ふたりのアニキとオートバイを配置する。固定できればどんな素材でもいいんだろうけど、なかなか乾かないと次の工程に進めない。せっかちなオレは瞬間接着剤でバチッと固定した。はみ出た接着材を隠したければ土でも草でも追加でへばりつかせておけば自然に見えるだろう。

 そのままだと地面にへばりついた草ばかりで高さが出ない。モデルの足元を少し隠してくれるようなボリュームのある草が欲しいと思っていたら、ファレホの「ワイルドタフト」を薦められた。ある程度高さのある草が、不定形の塊になった状態でまとめて台紙に糊付けしてある。ボークス各店舗で買えるので探してみよう。

 台紙からピッと剥がしてお好みの場所にちょいと置くだけ。粘着素材が塗ってあるので本当にシール感覚で地面に草が生える。下草との色のコントラストもちぐはぐにならずにひと安心。

▲マスキングテープを剥がして……

 わーお。できた。マスキングテープを巻きつけたところから、剥がして撮影したところまでジャスト40分。たったこれだけのことで、所在なさげだったふたりのアニキがどこかの未舗装路で会話しているように見える。もちろんタミヤのキットがすごく良い表情だからなんだろうけど、それでも「自分だけの景色」を手にできた喜びはすごく大きい!

 ベランダに出て空にかかげ、晴れた日差しを当てて眺める。至福の時じゃなくてなんだろう、って感じ。もちろん少しだけ道具を揃える必要はあるけど、小さな小さな景色を作るのは、こんなにもシンプルでこんなにも効果的だったのか!とすごく驚いた。また違う景色を探しに行こうと決めた、土曜の昼下がり。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。