
ついに、ようやく、タミヤの1/72スケール飛行機模型シリーズ「ウォーバードコレクション」にF-14Dが加わりました。シリーズNo.82にもイタレリ社製品をタミヤパッケージとした「アメリカ海軍 F-14A トムキャット」がラインナップされていましたが、今作はタミヤが設計した完全新規金型アイテム。なんせタミヤの最新作ですから、スタイルよし、ディテールよし、精度よし。約束された勝利があるとすればまさにこのこと。私が取り立ててこのプラモデルの「出来の良さ」を端から書いてもしょうがないくらいの恐ろしい完成度です。
ちょっとタミヤの飛行機模型に詳しい人であれば、このアイテムが2016年に発売された1/48傑作機シリーズ No.114「グラマン F-14A トムキャット」の正統後継者であり、あのスタイルの良さと組み立ての確実さを1/72にスケールダウンしたもの……という観点をお持ちでしょう。自分で書いた「タミヤ1/48トムキャットのすごいところ」というメモを見返してみると、パーツ分割の見直しこそされていますが、1/72に縮んで「諦めたこと」というのはほとんどないように見受けられます。

実際写真を撮っていてもファインダーを覗いている限りはこれが何分の1スケールなのか忘れるほどの表現力で、組むためにパーツを切り出して指で摘んでからはじめて「え、ちっさ!」と驚く始末。ふつうのプラモデルでは「小さくなっても彫刻やスジ彫りは大スケールと同じ」という現象が起きがちなのですが、このトムキャットでは文字通り「全部がそっくりそのまま小さくなって見える」というところにポイントがあります。スジ彫りとか肉眼で見えるか見えないかのギリギリなんだけど、たしかにそこにある……!という繊細さ。

ただ繊細で神経質な組付けを要求されるのかと思ったらさにあらず。ちゃんと主翼の左右連動ギミックはありますし、どこもかしこもガッチリとした出っ張りと受けの組み合わせ、ノリシロの確保、表面に痕跡を残さないゲート位置の設定などなど、もう改善すべき点なんてひとつも思い浮かばないところまで「組みやすさ」を担保してくれています。「先回りしてユーザーがやるべきこと」は残されていないと言ってよく、もはや自分の好きなマーキングを選んで塗装に全集中……がいちばん素直な楽しみ方なのかもしれません。

塗装が〜なんて話をした直後ですが、もちろん組むだけでも奇蹟のようなパーツ精度は存分に味わえます。コクピットの後ろ側と胴体がくっつくシーンはどこが分割ラインだったのかわからないほどピタッと合わさり、1/48モデルを組んだときと全く同じ声が出るほど気持ちよい瞬間。F-14は完成時にコクピットの中がほとんど見えない飛行機なので、ちらっと色を入れてから全体を組み上げ、たとえば塗装パターンBのブラックライオンズを選べばデカール貼るだけでも大満足のフィニッシュになるはずです。

まだ組み始めたばかりなのに、すでにパーフェクトゲームが運命づけられているかのような体験の連続に「ノンストップで組み立ての快楽をどんどん味わいたい!」と思う気持ちと、「これだけの緻密な立体物を全部塗装して仕上げたい!」という自分のバトルが勃発。しかし冷静に考えたらいつでもこのプラモデルが買える世界になったんですから、どっちにしろまた作れるわけですよ。とんでもないなぁ。

世界にトムキャットのプラモデルは数多ありますが、もし「いちばん精密で組み立てに失敗しないのは?」と聞かれたら、タミヤのキットを推すことになりましょう。従来のキットよりもやや高価な印象はあるものの、組めばその理由がわかるはずです。みなさんも、ぜひ。