頼り甲斐のある道具と進む。/タミヤ SASランドローバー(ピンクパンサー)

 旅って言ったって、そんなことはほとんどしたことないし、そういう映像を見たりすることもあんまりない。なんとなく頭の中に残っているのはモーターサイクルダイアリーズという映画で主人公の男性二人が一台のバイクで突っ走る感じ。旅先で出会う女性を「チッチョリーナ」と言っていたようなそうでもないような。

 ただ、一台のバイクに荷物をパンパンに積んで走るかっこよさがあった。そのせいか持っている服もモーターサイクルジャケットだとかコートだとかって長距離を移動する感じのものが結構ある。でかいポケットやウエスト周辺をキュッと絞るベルトやリブなどのディテールに思いを馳せる。持っている革靴も、品のあるものと同じくらいそういう靴が多い。

 タミヤのSASランドローバー(ピンクパンサー)を作っていたらふとタイヤの文字に目がいった。

「DANLOP」
「なるほど」
「SAND TYPE」
「おお!」

 といった感じで、砂漠仕様のタイヤであると文字で示されていることに「手に取ったコートがトレンチコートではなくて、モーターサイクルコートである」と店員さんから教わるような感じで、なんだか急にグッと来てしまった。

 そのあとはもう「好き!」といった感じで一気に作り進めてしまう。運転席周辺を作ればサンコンパスや無線機に関心が向き、車体の側面に着くホルスターにグッとくる。三脚やスコップ、サーチライトなんかは買おうと思っている洋服に関して「このディテールは何ですか」と思わず店員さんに聞いてしまうような感覚で、知識とそれがどう生かされるのかというロマンが指先を通じてビリビリ頭を刺激する感じ。やばい、楽しすぎる、ピンクパンサー。戦地は嫌だけど、こんな荷物を積みに積んだ車で俺もどこかへ行きたいぞ。

 そういえば昨日は秋葉原から自宅までかなり距離を歩いて帰ろうと思って背中にはリュック、足元はスニーカー……ではなく、長距離歩行にぴったりなレッドウィングのチャッカブーツを履いて歩いたのだった。プラモに本、衝動買いした洋服、たくさんの荷物を入れて歩いたけどストレスなく心地よい疲労のみを味わえたが、このピンクパンサーに乗った兵士たちも信頼の置ける道具で身の回りを固め各地を駆け巡ったのだろうか……なんて、作りながら思った。長距離歩行後にタフな軍用車両を作ると自分とプラモデルが重なる感じがするので最高ですよ。

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。