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【レビュー】ジャパニーズ・アメリカンのギラギラしたプラモデル/タミヤ 1:12 ヤマハ XV1000 ビラーゴ

 タミヤのバイク模型最新作、CB1000Fに触れてから「ネイキッドバイクをもっと楽しみたい!」という思いが爆発、そしてただツルシで作るだけじゃなくて好みのカタチに改造するならアメリカンタイプなんじゃないかという邪念も噴出し、アメリカンなバイクのプラモデルのなかからいま買えるものを物色。そしてたどり着いたのが「いままでずーっと視界に入っていたのに全く意識してなかったヤツ」としてのヤマハXV1000ビラーゴだったのである。

 タミヤのバイクモデルというのは「速い、強い、技術史的レース史的な特異点」みたいなものがモチーフの軸になっていると勝手に思っていたのだけど、このバイクはそんな面々のなかで明らかに空気が違う。ランナー(=パーツの付いたワク)の枚数がめっちゃ少ないうえにメッキ処理されたギラギラのパーツが超多い。SNSを検索すると、このバイクがなんであるかを知らなくてもメッキパーツのゴージャスさにクラッと来て選んだというモデラーの多いこと多いこと……。

 日本人のイメージするアメリカンクルーザーとはなにか。空冷Vツイン、ローアンドロング、イージー・ライダー、ボーン・トゥ・ビー・ワイルド……。要はタミヤもいくつか製品化してるハーレー・ダビッドソンですね。おお、説明書に全部書いてあるぞ。フツウのロードスポーツバイクを無理やりアメリカンなジオメトリに改設計した「なんちゃってアメリカン」から脱却するためにヤマハエンジンから新規に作り起こして徹底的にアメリカン・スタイルを追求したのがこのビラーゴちゅうわけね。本格的な国産アメリカンバイクの始祖と言われるとだんだんコイツの凄味が分かってきたわ。

 1983年、国産大型バイクがアメリカ史上を圧倒するなか、ハーレー・ダビッドソンのロビイングによってロナルド・レーガン大統領が大型バイクの関税を10倍に引き上げ。そんなのありかよ。いや、まさに現在も世の中そんな感じになっててテンヤワンヤだし、当時のバイクメーカーも大変だったのがむしろいまだからこそリアルに想像できる。しかもXV1000というのは関税発動の一因にもなったXV750スペシャルと違って国外専用モデル。日本人が驚いたバイクと言うよりも海外の人々に目配せしたチョイスってことはつまり、技術史レース史じゃなくて、貿易摩擦を生み出すほどの「スタイル的な特異点」をタミヤが模型化したのだな……と納得する次第。

 あまりにもゴージャスな見た目なので分厚い段付きシートを取っ払ってペラペラのサドルにしたらカッコ良さそう。俺って天才?とか思ってインターネットを泳ぐと出てくる出てくる、タミヤのビラーゴを改造したカスタム作例のあれやこれや。カフェもチョッパーもボバーも全部かっこいいわ。とくに装飾を取り払ってローアンドロングかつシンプルなスタイルに改造するのなんか、めっちゃ憧れる。はいそれじゃとりあえずこのVツインエンジンから組めばいいんですね?と説明書を見て仰天。まずフレームから組むなんていままで経験したことがない。

 なるほどエンジン自体が構造の一部を担う設計だからフレームでエンジンを挟み込むんじゃなくてフレームの欠けたところにエンジンがズコーンとハマるんですね。組み立て順でバイク設計のチャレンジングなところを味わえるのとか、プラモデルのいいところだわ。パーツの合いは40年前のプラモデルとは思えないほど気持ちいいし、やっぱりバイクの模型というのは新しくても古くても機械の原理原則に直接触っているような気がして楽しい。パーツの単位と機能の単位が近しいから組むだけでもカタチと機能の関わり方が脳にスッと入ってくるというか。

 このビラーゴの成功で日本でもクルーザーのカスタムバイクが大ブームになり、対抗馬としてスティードが、後継者としてドラッグスターが生まれることになったんだよ……と言われると、いまのレブルなんかにも繋がる流れがモワッと理解できるようになり、これでまたバイク模型を読む目がひとつ増えたな……と感じる。タミヤのラインナップを改めて見返してみると、2000年にヤマハ XV1600 ロードスターをキット化することでビラーゴにセルフアンサーしてたのか!と気づいたりして。なんとなく視界に入っていたはずのものが、ちゃんと見えるようになるって、素敵だよ。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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