君の天然色に目が眩む/銀色のプラモデルが見せる魚の肌

 長嶋祐成という魚の絵ばっかり描いてるイラストレーターがいて、その人の名前も知らず東京駅の目と鼻の先のKITTEに入っているお店でハンカチを買ったのだけど、そんな魚の絵の達人が去年の夏に根津の方で個展をやった。

 どの魚の絵も美しく、写真に撮るより目に焼き付けたいほどの感動を私にくれたのだけど、イラスト集を買ったら離れでサインをしてくれるってことで、「ギャラリーに入る前の小屋にいた帽子を被ったお兄さんが長嶋祐成だったのか!」と驚いて、本を持ってニコニコしながらそこに足を踏み入れた。

 魚の話をしながらサインをしてもらったのだけど、なんと目の前で魚の絵を描いてくれた。なんとなく買った本がそのまま家宝になった瞬間。

 彼の魚の絵は、ハセガワのボックスアートを数多く手がけた小池繁夫氏に近い不思議な清涼感があって、美しい。とんでもなく写実的というわけではないのに魚が魚らしく泳ぐ絵は、魚を見るより魚を見ているような気分。

 先日、中古のプラモデルを数多く扱うレオナルド模型店の店頭にタミヤの傑作機シリーズのブリュースターバッファローが置いてあって、試しに箱を開けてみたら成形色が銀だったので「これは当たり」とそのままお買い上げ。家に帰ってしげしげとランナーを眺めていると、メタルカラー独特のウェルドラインと呼ばれるうねりが美しく、魚のようにキラキラと光る表情に人間がどうやっても制御できない自然の美しさを発見した気がした。

 このキットは昔のもので、今はあまり店頭で見かけない。ただ、同じ飛行機の仕様違いはあるのだけど、その成形色はよくあるグレー。

 メタリックに輝くプラスチックはウェルドライン(金型の中で樹脂が冷え固まった痕跡)のうねりが素材そのものの生々しさを感じさせてくれて、プラスチックも生き物だということをしっかりと認識させてくれた。革なんかもトラや血筋と呼ばれる革の表情があるのだけど、それを嫌って上から顔料を被せたりして隠してしまうことがある。かと思えばイギリスの名靴ではトラはB級品と弾かず使うこともあるようだ。確か、フランスのJ.M.WESTONではクロコダイルのオーダーをすると革の取り都合や美しさを優先して稀に、縦横に走る鱗の並びを斜めに使って綺麗に仕上げたものが上がってくることがあると聞いた。

 どちらも素材の生み出す表情を愛する文化が根付いている様子がして、とても好感の持てる話だなと記憶している。

 銀色のプラのウェルドラインはプラスチックの表情だと思う。キラキラと光る魚のように光に当たってはその表情を幾重にも楽しませてくれる。もっと、銀の成形色の飛行機があれば良いのに。と本当に思った。

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。