新時模型のメタルスラッグプラモレビュー、第四回目はモーデン軍の自走砲「メルティ・ハニー」です。シリーズではおなじみの敵車両で、前方にくっついてるトゲつきの盾は硬いけど本体はそれほどでもないというのがお約束。この「盾だけ硬い」というあたりが、オープントップの自走砲らしい設定なんですよね。
そんなメルティ・ハニー、箱の大きさはこれまでのシリーズの他のキットと全く同じ。ちっちゃいプラモがはいってるんだろうな、というのが一発でわかる程よい大きさです。箱を開けてみるとごろっと一発で成形された車体の上下がそのまま入ってて、これを組んだら後は細かい部品をくっつけるだけ。シリーズお馴染みのお手軽さです。ちなみに恒例のおまけフィギュアはモーデン兵が付属。
とはいえ細かいところも気が利いており、例えば車体内部に置かれた砲弾の弾頭や布製とおぼしき防楯カバーなどは成型色が分けられております。車体内部の床板には細かく滑り止めのモールドが入っていたりして、こちらも嬉しい配慮。そりゃ、中身がただのツルツルの板じゃあテンション下がるもんね……。また、履帯はお馴染みのもうすでに輪っかになっているやつがついているので、そのまま一体成型の車体にはめ込めばそれで終了。いや~、ほんとこれ楽でいいや。普通の戦車模型でもやってくんねえかな。
あと、メタルスラッグや前回のシューと違うのはメルティ・ハニーはオープントップであるという点。中身が見えちゃうので、デフォルメしたゲームのメカと言えどもそれなりにメカが詰まっててほしいわけです。このキットはその辺も抜かりなし。オープントップの自走砲にありがちな「装甲板の裏面にくっついている通信機っぽいなにか」とか、主砲の後端から見えているでっかい尾栓とか、オープントップあるあるなディテールがきっちり入っております。いや~、実車があるわけでもないゲームの雑魚敵メカを相手にここまでやるとは。新時模型のメタスラ愛はすごいですねえ……。メタルスラッグだけでなく、戦闘車両全般に対する愛も感じますね。
組み立てプロセス的にはトゲが生えた盾は一番最後。全部で5本生えているこのトゲも、一本ずつ差し込み用のダボの形が違うので取り付け間違いがありません。このへんの配慮もマジでよくできてる。似たようなトゲをたくさん取り付けるから、これがなかったら見分けがつかなくなっちゃうとこでした。
というわけで完成! 他のモーデン軍の戦車と比べるとちょっとちっちゃいんですが、その分ディテールがぎゅっと詰まった感じがするので、物足りなさは特になし! ていうか、メルティ・ハニーってこういう見た目の乗り物だったのね……。車体後部に乗員搭乗用の扉がついてたりとか、その横にジェリ缶がくっついてたりとか、今回のキットで初めて知りました。すごいな~!
というわけでシリーズ4つめの車両ということになったわけですが、こうして並べて見るとそこかしこにリベットが打ってあったりして、明らかに1世代前の車両ですよ、という目配せがされているのには唸らされますね。ゲームやってるときはとにかくプレイに必死で、こんなに細かいディテールを見るヒマがなかったので……。模型になってくれたことで改めて、メタルスラッグのデザインがいかに実際の装甲車両を参考にして作られていたかに気付かされた思いです。ていうかこれ、主役のメタルスラッグだけプラモにされてたらわかんなかったな~! 敵味方問わず、並べて見るといいことがありますね。というわけで、また次もメタルスラッグのキットを組み立てていきますよ!
ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。