組めば組むほど実車のテクノロジーを体感できるマッシブプラモ! AFVクラブのSd.Kfz.233。

▲台湾のスケールモデルメーカーとして名を馳せるAFVクラブから「Sd.Kfz.233」というドイツ軍車両をお届けします! 細かいパーツも多数でなかなかにアニキなプラモだぜ!

 戦車と並んで装甲車もAFV模型では花形のひとつです。戦車とほぼ同時に誕生し、現在も世界各地で使用されています。WW2前夜ぐらいからのドイツ軍では、シャシーの上にそろばんの玉のような断面系のキャビンを備えた装甲車が多数生産され、見た目が似ているけどちょっと違う、というマニア好みのファミリーが展開しています。今回はそのなかからAFVクラブのSd.Kfz.233を紹介します。

 実車は8輪装甲車Sd.Kfz231に砲塔のかわりに7.5cm砲を搭載した火力支援の自走砲バージョンです。ドイツ軍は装甲車系に7.5cm砲をどんどん搭載して、オープントップの自走砲系装甲車を作っていきました。どれもオープントップで上が切れた外見になることから”シュツンメル”(切り株)のあだ名で呼ばれたようです。私はこの手のスタイルが好物でして、ヘッツァーの7.5cm搭載型、Sd.Kfz.250/8、Sd.Kfz234/3などがあります。奥のは同じくAFVクラブ製のSd.Kfz251/9です。

 箱を開けただけでこのぎっしりと細かいパーツが出迎えます。ご想像のとおり、大変なキットです。でも、高精細なSd.Kfz.233がこのサイズで手に入る、ということが、我々をこうしたキットへと駆り立てるのです……。

 ボディ上部のパーツ。表面の溶接跡を表現したモールドがいいですね。前側がゴリゴリと膨らんでいるのが特徴で、右側の切り欠きから砲を突き出すのです。ところで、品番35233って安直だけどちょっとオシャレですね。1/35のSd.Kfz.233ですからね。

 ボディ後部はこんな細い部分にゲートが……。ちぎれないうちに切っておきましょう。それにしても表面のモールドが繊細でたまらんですね。

 繊細なためか、シャシーフレームはケースに入っています。フレーム単位までパーツが分割されている……このすごさと恐ろしさはこのあと味わうことができます。

 タイヤとダストブーツは軟質素材です。タイヤの素材はメーカーによっていろいろですが、軟質素材の感触はまさに実物のゴム製タイヤの縮小版という喜びをくれますね。

 組み立てがはじまると、ひたすら足周りの作業がはじまります。ひとつひとつのアームを接着しないように組み立てると、この車両が独立懸架式で設地性を重視していたのがわかります。

 シャシーを裏側から見ます。中央の軸からすべてのタイヤに向かってドライブシャフトがつながっています。つまりこの8輪装甲車、その8輪すべてに動力が伝わる”8輪駆動”なんです! 

 しかも、さらに組み立てを進めるとトラックロッドをそれぞれの車輪に配置していく作業が出ます。ということは、この装甲車、8輪すべてが動いて操舵できるってことですか……。8WDかつ8WS。組めば組むほどこの車両のテクノロジー、操舵性や接地性に心を砕いた設計がわかります。敬意を払って前側の4輪はちょっとステアリングした状態で作りました。

 まだこの車両のテクノロジーは終わっていません! 内部の組み立てに入ると、ハンドルがふたつ。アクセルやブレーキも2つ、つまり前でも後ろでも操縦できるということです。逃げ足も速い、ということですね。

 これが7.5cm砲のランナー。全体的にモールドが深く、パーツも細かい、実物の組み立てを意識するような細かさになっています。椅子の座面がいかにも使い込まれたペナペナのシートって感じで質感も抜群ですね。

 これが7.5cm砲です。3号戦車や4号戦車に使われ、それら車両が長砲身化するなかでいろいろな車両に搭載されていきました。

 こうやってパーツをしばいたり細かさにしばかれたりしながら、このSd.Kfz.233についてどんどん知識を吸収していきます。説明書にはほかの8輪装甲車もイラストが載っているので、興味を持ったら調べてみましょう。細かな役割や外形の違い、模型でたどる楽しみが待っていますよ。

 テクノロジーたっぷりの装甲車にいい火砲、おいしいものの組み合わせ、カレギュウかうな牛か、そういうアイテムがSd.Kfz.233です。AFVクラブの1/35キットはこまかいぶん難易度も大変ですが、組み上がって眺めるとすべての苦労が報われます。この前側がでっかいシルエット、ああ、これが欲しかったんですよ……!

けんたろう
けんたろう

各模型誌で笑顔を振りまくフォトジェニックライター。どんな模型もするする食べちゃうやんちゃなお兄さんで、工具&マテリアルにも詳しい。コメダ珈琲が大好き。