
新時模型のメタルスラッグキット連続レビュー、第三弾はモーデン軍の大型戦車「シュー」がお題です。
このシュー、初代メタルスラッグではもう一台の「カーン」という戦車とセットで現れ、主砲やらロケットやらで散々プレイヤーを苦しめました。さらに『X』では1台で中ボスとして出現しております。まあ、おれはゲームがヘタクソなんでプレイ中は「なんかおっきいのが2台出てきた!? なんで!?」くらいしか認識できなかったわけですけれども……。



そんなシューも、箱の大きさはシリーズの他のキットと同じ。もはや新時模型のキットには信頼しかないので、パッパと開けて見てみます。中に入っているのはごろっと大ぶりな車体の部品と、そこに色々くっつくんだろうな~というディテールのパーツ。毎度のことながら、バラバラの状態ですでにあらかた形が見えていて、細かい部品をグサグサつければそれで完成という手っ取り早さは好印象。

今回のおまけフィギュアはメタルスラッグ名物、捕虜のおっさんです。ちゃんとパンツを手に持っている! 今ナチュラルにおっさんって書いちゃったけど、これって多分捕虜になってる間髪もヒゲも伸び放題だっただけで、本当は別におっさんじゃないんだろうな……。



最高なのがこの転輪と履帯周りのパーツ分割。なんと車体に転輪がズラ~ッと生えており、そこにつながった状態の履帯をバコンとはめ込むとそれで完成。めちゃくちゃお手軽だし転輪のパーティングライン消したりしなくていいし、履帯と転輪は別パーツだからちゃんと向こうが見えてメカっぽいし、この世の全ての戦車模型がこうであってほしいというナイスな工夫。「みんな、チャッチャと作ってパッパと並べて遊びたいでしょ!?」という見事な割り切り。毎度のことながら素晴らしい。



そうかと思えば色分けを再現するための小技も効いてます。シューは「フェンダーだけ赤い」というカラーリングなわけですが、それを再現するため車体の上下パーツの間に左右つながった赤いフェンダーのパーツを挟み込む構造に。さらに車体横の丸い出っ張りのところなど、赤いパーツを随所に差し込むことで色分けを見事再現。こだわりですなあ。



傾斜がついた車体の上部はまるまる別パーツになっており、砲塔と組み合わせた後で車体下部とドッキングさせるという流れ。というわけであっという間に完成です。写真撮りながらでも完成までの所要時間は30分くらい。簡単ですぐできて形が似てる、といういいことづくめのキットです。

どうやらこのシューは「グレイ・シェルポ博士」という名前の人が作ったという設定のようなのですが、名前の響き的にこの人の元ネタはポルシェ博士のはず……。そしてそれも納得なシューのなんとも言えない装甲の傾斜ぶり。そこはかとなく「ポルシェ砲塔」っぽいムードが漂ってます。キューポラの形とかもモロにドイツ戦車だし、メタルスラッグってほんとそういうディテールの引用がうまいですよね。実在しそうで実在しない、絶妙なバランス感覚だと思います。

う~ん、メタルスラッグと並べると絵になりますね。捕虜のおっさんも完璧に捕虜のおっさんで嬉しい限り。毎回毎回このシリーズの完成度の高さには唸らされますが、今回も小粒でピリッとしたいいプラモデルでした。というわけで、次回もモーデン軍の恐るべき兵器が登場します! 乞うご期待!