
メカ好きなら誰しも「一度は乗ってみたいバイク」が2つあります。ひとつは『AKIRA』の金田のバイク。そしてもうひとつは、『機甲創世記モスピーダ』のモスピーダ。
間違いない。
言わずと知れた名作『機甲創世記モスピーダ』。西暦2050年、謎の異星生命体「インビット」の侵略を受けた地球を奪還するため、火星基地から地球奪還部隊が立ち上がります。地球へ降下した主人公スティックと、現地でたくましく生き延びていた人々がともに戦うストーリーです。作戦目標であるインビットの本拠地「レフレックス・ポイント」を目指す過酷な旅の途中で、スティックの最初の仲間となるのがレイ。本キットの主役です。

この作品の二大メインメカといえば、可変戦闘機「レギオス」と、この「モスピーダ」。中でもモスピーダは「普段乗っているバイクが変形し、そのまま乗員のパワードスーツ(ライドアーマー)になる」という驚きのギミックを備えていました。巨大ロボットに乗り込むこと以上に、日常の延長線上にある「身近な乗り物を纏う」という感覚が、当時5歳だった私の想像力を強烈に掻き立てたのです。そんな私たちの少年の心に永遠に深く刺さり続けている夢のメカが、グッドスマイルカンパニーのMODEROIDから「VR-052T(レイ機)」として現代最高峰の技術で完全立体化されたのです。
本キットの真骨頂は、なんといってもあの複雑な「ライディング形態(アーマーバイク)」から「装着状態(ライドアーマー)」への変形プロセスを、プラモデルとして見事に再現している点です。

SFメカでありながら、どこか現代の延長線上にあるリアリティ。実車のエンジンを彷彿とさせる緻密なメカニカルパーツの密度感がメカ好きにはたまりません。

洗練されたパーツ構成により、バイク状態での流麗かつ無骨なメカニカルラインと、ライドスーツを装着した人間らしい力強いフォルムの双方が、どちらを眺めても「隙のないカッコよさ」で目の前に現れます。

バイクのシートにライドスーツ姿のレイを跨がせ、ハンドルを握らせる。たったそれだけで、タケカワユキヒデ氏が作曲したあの名曲オープニングのメロディが脳裏を駆け巡ります。男は誰もロンリーソルジャーボーイ……俺も十字架背負うぜ!

普段メカ物ばかり作っている私にとって、ハードルの高い人物の顔。しかし成型色に付属の水転写デカールで眉と目を貼るだけで、大満足の完成度に仕上がります。


初めて瞳デカールを貼る自分にとって、同じ種類の予備が複数用意されている仕様は「失敗してもええんやで」と優しく語りかけられているような安心感に包まれます。

成形色による緻密なパーツ分割に加え、一部パーツは最初から彩色済み仕様。パチパチと組み上がるパーツ群と、その先に待つ変形機構を想像しながらパーツを合わせていく工程は、新鮮な驚きと高揚感に満ちています。

巨大ロボットに乗るのとはまた違う、「もし自分がこの時代にいたら、このバイクで荒野を駆け抜けてみたい」というあの頃抱いた妄想が、一気に解放される瞬間です。当時アニメに胸を躍らせた人も、作品は未見だけど可変メカの造形美に目がないモデラーも、ぜひこの「最強のバイク」を手にとってみてください。あなたの作業スペースが一瞬にして、レフレックス・ポイントを目指す熱い旅路の起点へと変貌を遂げるはずです!