最新記事やプラモデル情報を毎日お届け!
follow on Xをフォロー!

【レビュー】メカスマチームの集大成!傑作プラモデルで楽しめる「モスピーダという伝説」/MODEROID モスピーダ VR-052F(スティック機)

 グッドスマイルカンパニーのプラモデル「MODEROID」シリーズから、1983年に放映されたアニメ『モスピーダ』の傑作メカ、「VR-052F ライドアーマー モスピーダ」遂に発売! このプラモ、グッドスマイルカンパニーのメカチーム・メカスマが培ってきたトイ的合体変形ギミック、グッドスマイルカンパニーが得意とするフィギュア造形、そしてMODEROIDシリーズで毎度こだわってきた「組みやすさを目指したパーツバランス」が見事に融合した傑作プラモです。番組放映当時にイマイより発売され、現在はアオシマ文化教材社が引き継いでいる「1/12 可変モスピーダ」という傑作プラモデルの血脈をグッドスマイルカンパニーが見事にバトンを引き継ぎ、現代のフォーマットに落とし込んだかのような素晴らしさです。多くの人がモスピーダという傑作デザインをサクサクと組めて、ガシガシと変形合体&バイクへのライドを、今この令和に楽しめる……失われた伝説を求めて、そこにグッドスマイルカンパニー・MODEROIDが到達したのです。

 『モスピーダ』は1983年10月に放送が始まったタツノコプロによって製作された作品です(僕が生まれるひと月前にスタートした作品!)。僕にとって『モスピーダ』はホビージャパン編集部に配属されたばかりの時に、先輩が特集記事を隣で作っていて、「こんなかっこいいメカがあるんですね! 当時のプラモもめっちゃすごいですね!」と色々と教えてもらった作品。そこからバンダイチャンネルでアニメを見て、オープニングソングのかっこよさもあり全話駆け抜けたのでした。

 モスピーダはバイク形態から強化アーマーに変形するという、まさにバイク変形メカの草分けとも言える存在。日本メカデザインの傑作のひとつと言えます。

 MODEROIDでキット化されたモスピーダは、スティック機とレイ機。パッケージを並べるとマーシーラビット氏によって描かれたかっこいい1枚絵が完成しますよ。周りのキャラクターたちにもついつい目が行っちゃいます。最終目的地レフレックス・ポイントに向かうまでに彼らが成長していく、心を通わせていく姿には胸が熱くなります。最終回にイエローがカミングアウトし、傑作オープニングソング「失われた伝説を求めて」を披露するところは個人的に大好きなシーンです。

 キットの説明書はなんと3冊!! フィギュア、アーマーサイクル(以下わかりやすいようにバイク)、そしてライドアーマーへの変形・装着の方法を詳細に紹介したものとなっています。それだけ箱の中身にはみっちりとしたボリューム!

 水転写デカールが付属し、細部のカラーリングやナンバーを表現できます。なかでも注目してほしいのが、この白黒帯「インベイジョンストライプ」。実はこれ、本作品の設定やメカデザインに携わった柿沼秀樹氏のこだわりが詰まったマーキングなのです。モスピーダやレギオスを手がけたのは荒牧伸志氏で、柿沼氏は戦艦類やインビットなどを担当しています。

 インベイジョンストライプといえば、ノルマンディー上陸作戦の際に、連合軍の航空機に味方からの誤射を防ぐために施されたマーキング。柿沼氏はこの白黒帯に、番組のテーマである「インビットからの地球奪還作戦」を重ね合わせたそうです。インビットに支配された地球への降下は、未来のノルマンディー上陸作戦だ! そんな思いから、このマーキングが取り入れられたとのこと。

 ただ、当時の制作現場ではその意図があまり理解されず、レギオスではかろうじて主人公機にだけ帯を入れられたそうです。そう聞くと、この白黒帯がますますかっこよく見えてきますね。デカールを貼る時にも、地球奪還への思いを乗せたくなります。(参考:月刊ホビージャパン2007年6月号)

 フェイスはヘルメットを装着した状態と脱いだ状態を再現できる2種が付属。バイザーは塗装済みのものと、透明のクリアーパーツが選択できます。目と眉は水転写デカールで表現します。目線違いで3種セットされ、それぞれ失敗した時のために予備が豊富に入っています。これは心置きなくチャレンジできる嬉しい配慮です。

 成型色(プラスチックの色)も非常にこだわりの強い仕上がりになっています。モスピーダのライディングスーツやバイク外装の色は淡い中間色なのが特徴です。この色を透け感無くとっても上品に表現しています。シルバーのメタリックもかっこいいです。

 このままつや消しスプレーを吹いて、プラの色のまま仕上げたいと思えるほど素晴らしいペールグリーンです。ディテールも深くメリハリがあって力強いのも好印象!

 MODEROIDといえば「手首!」というほど毎回こだわりある手首を送り出してくれます。モスピーダは銃を持つ専用手以外に、バイクのハンドルを自然と握れる握り手も入ります。丸みのある柔らかな造形もグッドです。

 センサー類はクリアーパーツで表現。非常に輝度の高い塗装が最初から施されているので、取り付けるだけでキラリと光るアクセントを楽しめます。展示やアクションを支える台座パーツもセットされますよ。

 バイクのパーツは細かなものを極力減らし、大きな塊にディテールを掘り込む手法で構成されています。エンジンのモールドもすごく立体的に仕上がっています。マフラーのような筒状のパーツも1発成型されていて、形状も非常に美しいです。

 細部のカラーリングで、まさかのこだわりを見せてくれたのが「段落ち黒」の塗装。こういう部分って自分で塗ると意外とめんどくさい部分。しかし塗られていると模型に奥行きが出ます。こういった「モデラーの喜ぶツボ」みたいなところを塗装済みにして押してくるMODEROIDが僕は好きです。

 組み立て中は、シンプルなパーツながらもスライドや回転する軸が各所に現れて、アクショントイを触っているような感覚になります。でもそれぞれのパーツの役割が脳内でもイメージできるので、「俺は今何をさせられているんだ(細かすぎるプラモデルを触っていると襲ってくるモヤモ病)」という感覚にはなりません。むしろ気持ちよくスライドさせた先に、カチッとハマる快感とかっこいい塊が目の前に現れてくる瞬間が連続でやってくるので、プラモを作る手が止まりません。

 人型プラモは手と足を二つずつ作らなければいけません。この当たり前の行為ですが、人間同じことを繰り返すのがいつだってちょっとしんどい。でもモスピーダのフィギュア(僕が製作したのはスティック)は、スーツの構造をうまく捉えた分割になっているので、腕や足が爆速で組み上がります。この腕も5分ほどで組み上がりました。

 フィギュアは可動のこだわりも抜かりなし! バイクに乗った状態、ライドアーマー状態でもガシガシ遊べるようになっています。こちらは肩。人間の肩甲骨のあたりからグイッと引き出すことができます。これで腕を前方に大きく出せます。

 お腹の中には胸部側と下腹部の両方に可動箇所があり、前後左右にスイングできます。

 そういったフィギュアの可動ギミックにより、バイクにも自然に跨がれます。組んだだけでとってもかっこいいですね! スティックの素顔状態の造形もとってもイケメンに仕上がっています。

 バイクはギミック満載なので、組み上がるのに4時間ほどかかりました。こちらはシンプルな形状のほか、パーツの差し替えでビームキャノンを搭載できます。僕が作ったスティック機は、フロントにミサイルポッドも装備しているので、とっても重厚なスタイルを楽しめます。

 バイク自体の安定感と、フィギュアのフィッティングの良さで、お好みのポーズで展示可能。ガシガシ遊べるプラモデルです。

 そして本キットの醍醐味である「ライドアーマーへの変形・装着」。この手順は専用の説明書が付くくらい細かいのですが、その中でも特に驚いたのがエンジンの収納。エンジンパーツは左右から力を加えると中央に押し込まれフレーム枠の中に収まります。

 エンジンがフレーム内に完全に収納されたことで、バイクの装甲がスライドした空間にすぽっとエンジンが収納されるのです。最後に装甲を閉じれば完成。あれだけ迫力あったエンジンがとってもスマートに収まりました。THE合体などのトイシリーズも手掛けるメカスマチームのノウハウが存分に活かされています。

 ターゲッティングセンサーも付属。お好みに取り付けてください。

 見事なプロポーション! 多くのメカファンが夢見た、フィギュア・バイク・ライドアーマーの3拍子が高次元でまとまったプラモが今目の前にあるのです。これはぜひとも作ってほしいプラモデル。最近作ったキャラクタープラモデルの中でも一番心踊るキットでした。モスピーダを知らない人も、いや知らない人こそこのプラモデルを買ってデザインのかっこよさ、プラモデルの楽しさを体感して欲しいです。超おすすめです。それでは。

フミテシのプロフィール

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。

関連記事