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MODEROIDのケインにコクを足しまくるなら「パイピング」が最高だった話。

 プラモデルには「組み味がおもしろい」とか「全然知らんメカとかのことがよくわかるようになった」など、幅広い面白みや楽しみがあります。が、その中でもハートにガツンとくるのは「めっちゃ好きなモチーフがいい感じのキットになった」というやつではないでしょうか。元々めっちゃ好きなモチーフがプラモデルになるだけで嬉しいのに、キットの内容までいいとくれば、それはもうゴキゲンのダイナマイツです。

 最近、自分にとってそんなダイナマイツなキットだったのが、MODEROIDのケイン。ご存知、『ロボコップ2』の悪役メカですね。よくわからんという人は『ロボコップ2』を見てください。おれは大好きな映画ですし、その中で大暴れしていたケインも当然好き。ケインの面白いところについてだったら、2時間くらい喋れると思います。

▲すんげ〜めんどくさい形をしてると思いませんか、ケイン

 この「ロボコップ2号機」ことケイン、形がかなりややこしい。両足の爪が伸びたり畳まれたりするし、上半身と下半身は4本の油圧シリンダーでつながっててガッチョンガッチョン上下するし、腕なんて合計4本生えている。その割に胸部から頭部にかけてはヌメ〜ッとした独特の曲面に覆われているし、パッと見で全然把握できない形をしています。

 この「形状のよくわからなさ」はデザインを担当したクレイグ・デイヴィスの意図によるものだったそうで、彼は「モンスターは視覚的に理解できちゃった時点であんまり怖くなくなるから、見る人の脳に過剰な負荷を与えるような外見にしたかった」みたいなコメントを残しています。最初のデザインはもっと動物っぽいものだったそうですが、ティム・ハンター(当初は『ロボコップ2』を監督する予定だった)のアドバイスで多少人間に寄せたフォルムになったとか。

 マジで組み立てるだけなら2時間ちょっとで終わる。すごい そんな複雑怪奇なメカをバキッと小気味よくバラしてバシバシ組み立てられるプラモにしたというだけで、MODEROID版ケインは優勝です。組み立てだけなら2時間くらいあれば終わり、それだけでもう全高20㎝超えのでっかいケインが机の上に爆誕。デカくてグイグイ動くケイン、サイコ〜!

▲ミニガンの銃身を3Dプリントしたやつに変えたり……
▲肉抜きを埋めたり……
▲トーチのコイルを銅線で自作したり……

 色々やったけどなんかコクが足りない気がする というわけでMODEROIDのケインは最高ではあるんですが、なんせ何度も何度も見たモチーフなので「ここはこうなっていてほしいなあ」という場所もある。肉抜きも埋めたい。ネジとかのディテールもついててほしい。と、色々くっつけてもまだなんだかコクが足りない。ケインには見えるけどケインっぽくない。一体この差はなんだろう……と検索していたら、「フィル・ティペットがケインの撮影用マペットを競売に出した時のWEBページ」というのを見つけまして、そこに映画に登場したケインの上半身の詳細な画像がたくさん載っていたわけです。

 これをじっと見て、おれは震えましたね。なるほど、確かにMODEROIDのケインはケインの形をよくトレースしています。でも、圧倒的に足りないのは各部に張り巡らされたホースやパイプやケーブル。本来なら全身にくっついているべき紐状のディテールが全然ない。「ここの違いか!」と、ピカーッと閃いたわけです。

 ケインの上半身には油圧と思しきシリンダーなどが配置されているわけですが、油圧というのはパスカルの原理で動いています。なので、シリンダーだけでは動作せず、シリンダーの中の液体に圧をかけたり抜いたりするためのホースやパイプがくっついており、それがポンプみたいなパワーソースに接続されることでギュンギュン動くわけです。工事現場のショベルカーのアームにも、油圧のシリンダーから伸びるホースがくっついてると思います。

▲肩から腕にかけてのパイプを足すと「ケインだ!」となる

 多分なんですが、ケインのパペットを作ったクレイグ・デイヴィスやフィル・ティペットは、シリンダーだけがおざなりにくっついている状態に耐えられなかったんじゃないでしょうか。「メカなんだから、パワーソースと駆動部が何らかのパイプやケーブルで接続されていた方が生々しいんじゃないか。というか、そういうものがくっついていないと変だし、そっちの方がカッコいいじゃないか」という判断から、あの無数のパイプをくっつけた……と、おれは判断しました。

▲トーチにもこういうケーブルが付いてたから付ける
▲右腕、マジでプロップによってケーブルの生え方がかなり違ったので適当で諦めました。ちょっと心残り

 腹のところがキットにチューブがついてるけど、細いスプリングに置き換えています で、実際にパイプ類をケインにくっつけてみると、本当にみるみるうちに「ケ、ケインだ〜」という感じになるんです。キットには腹から垂れ下がったパイプなどを作るためのチューブがついているんですが、量が心もとないのといろいろな種類のパイプやチューブがくっついていた方が面白いので、手元にある紐状の部品を総動員。一番役に立ったのは「ダメになったスマホの充電ケーブルの皮膜を一枚剥いたやつ」でした。質感がメタリックなんだけど、一応ガワは編んだ皮膜がついてる感じになってて超かっこいい。ダメになった充電ケーブルは保存しておくことをお勧めします。

 あと、やっぱりパイプをそのままくっつけるだけではちょっと厳しい。パイプの基部の部品がほしい。ということで、パイプの根元をちゃちゃっと作って3Dプリンターで出力して量産してくっつけました。便利だな〜!

 やっぱチョ〜カッコイイな、ケインは! というわけで、プラモデルを作ったら、ケインの一番のコクの部分は「上半身にスパゲッティみたいに絡まってるパイプ類」であるということに気がついたぞというお話でした。ここから日米のメカデザインの方向性の違い(機械的側面を表現するか、キャラクター性を表現するかという差、またDIY環境の差からくるメカとの距離感の違いなど)の話につなげることもできそうではありますが、これはヨタ話に近いので酒場などで話した方が良さそうですね。兎にも角にも、めっちゃ好きなモチーフのトロの部分が一体何だったのかに改めて気付くことができたわけで、やっぱりプラモデルってスゲ〜面白いなあ……と思ったのでありました。

しげるのプロフィール

しげる

ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。

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