僕はフィギュアの塗装でずっと避けてきたことがある。それは「目」を描くことだ。大好きな戦車模型は、1/35スケールや1/48スケールと言った小さなサイズのアニキたちなので、目を描かなくても不自然ではない。しかし、最近楽しんでいるマシーネンクリーガーのような1/20スケールとなってくると、やっぱり「目」が欲しくなるのだ……。そこでシタデルカラーの基本的塗装が網羅されている「ウォーハンマー スタートアップガイド HOW TO BUILD WARHAMMER」を開いた。この本にはウォーハンマーの小さなサイズのアニキの顔に目を描くテクが掲載されているのだ。
白目を描いて、瞳の色(濃い茶色など)の縦線を引く。そしてはみ出した部分を肌色で塗りつぶすと目ができるというのだ。本当に? と思ってしまうし、実際にその方法で塗られた目は「人間の目」にしか見えなかった。もうやってみるしかない! 俺のマシーネンアニキに「目」を入れて命を灯すのだ!
1/20スケールのフィギュアともなると、マジで目が造形されている。だからこそ、塗ってみたいって思ってたし、失敗したらどうしようって気分にもなってなかなか塗装に踏み出せなかった。でもやってみることに価値があるんや! How to本を読んだら、やってみなければ次のステップに行けないんや!!
線を引いた瞬間「終わった〜〜」って気分が襲ってくる。本当にこれが瞳になるのか??? どう見たってただの線。でもプラモの塗装は堪えることが大事。本に書かれているように、目からはみ出した瞳の線を、肌色で塗りつぶしてみよう。
はみ出しを塗りつぶした時に、気づく。瞳を描くのではなく「整える」ということに。大体に引いた線を、肌色で塗りつぶしたり、時には白目の白色をちょんちょんと塗って瞳の形に整えるのだ。そうすることでなんだか「瞳」になっていく。
「人になったぞ!」と自分の中で達成感が押し寄せてきた。今まで「目」の塗装だけは怖くて怖くて避けてきた。今回突破したことで、これからフィギュアを塗る時の楽しみが増えた。できないと思っていたことに、やってみたらなんとなく出来たというこの達成感がとてもプラモを楽しくさせてくれる。お手本と全く同じに出来なくても、自分の中で「遠くにあったものに近づいた」と思えたら、あなたの勝ちなのだ!
1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)