
ラックから撮影用の布を出すときに、ガシャンという音がした。なにごとかと思ったらプラモデルが落ちていた。磁石を仕込んだ木材の上に貼り付けていた、ハセガワの1/35スケールのSGプラウラーだ。見るも無惨とはまさにこのことといった具合で、もうダメかなと思うほど。もう何年も部屋に置いていたので「よくぞここまで」という気持ちすらある。

足や腕は取れ、背中のタンクは紛失。そもそも後頭部あたりから伸びるアンテナだって先端のブレードが気づいたら無くなっている。こうなってしまうと処分するしかないなと思ったのだけど、どうにも名残惜しくて捨てられない。しばらく安置していたら直して塗装も新しくしようという気持ちが生まれてきた。無くなったパーツはもうそのままでよく、そうである方が雰囲気も出るだろうと気を取り直したのだった。

まずは溜まったホコリを払う。いつだったかぬるま湯を筆につけて全体を撫でると具合良く綺麗になるという話を読んだことがあるのでそうする。乾燥したらバラバラになったパーツを付け直す。強度面から今回はアンテナは外して、空いた穴を埋めることにした。それに合わせて胴体の中心を走る合わせ目も瞬間接着剤を使って処理。ヤスリで削った姿が案外よくて、これは直そうと思わないと見られない光景だった。背中右側の紛失したタンクの接着痕はかっこいいのでそのまま残しておくことにした。

こんなふうに生き返らせるというか、補修をすると迫力が増す。なんというか、しぶとさが体現された感がある。塗装するときも僅かにデカールの凸凹を感じたり、なんとなくで塗って面が荒れていた部分が良い感じの下地になっていたりと、珍しい経験ができた。今回はWheels of gentlemenのラジオ局のデカールを貼ったが、下にはマシーネン的なマーキングがなされていて、その姿で長らく我が家にいたことを思うと固有の物語が出来上がっていくようで楽しい。

壊れても姿形を変えてまだ部屋に残そうという気持ちがあるのはなんでだろうと思うのだけど、こんなふうに触れていると育ち続けるような魅力が出てくる。飾り台の奥の方に置いているのとは違って、とりあえず磁石がくっつくところに置いているので破損するのだけど、それによって直せる可能性に気付けたのはユニークだと思った。