
ハセガワの1/48 AH-46D アパッチ ロングボウといえば、戦闘ヘリらしいディテールが濃縮された名作と名高いプラモ。しかし実際作ってみると、それに収まらないキットであることがわかりました。「パーツ点数が多く歯応えのあるプラモデルを、自分の手でねじ伏せて完成させる」という楽しみも感じられる逸品だったのです。

まず箱を開けて驚くのが、パーツの彫刻の細かさ。機体外装のパーツにはビッシビシに粒の立ったリベットがずらりと並んでおり、大根でもおろせそうなほどの凹凸が目を惹きます。ヘリコプターは音速を超えるような速度の出る乗り物ではないので、機体表面のデコボコについては戦闘機ほど神経質にならなくても大丈夫。それより簡単でコストの低い方法で組み立てる方が大事ということで、リベットの頭も多くの場合は特に処理されず出っ張りっぱなし。アパッチの機体表面がリベットでデコボコしているのは非常にヘリコプターらしい特徴であり、ハセガワの1/48 アパッチはその特徴を全力で表現しているわけです。


フィギュアにも注目。このアパッチにはフィギュアがついているのですが、1/48なのでそれなりの大きさ。可能な限りきっちり塗ってあげたいところです。ということで、このフィギュアで注目したいのが頭部。ヘルメットの後ろ半分と顔面がくっついた状態で成形されており、その上にヘルメットの前半分とバイザーが組み合わさった部品を取り付ける設計となっています。この分割によって「顔とバイザー部を別で塗った後で組み合わせる」という組み立て方が可能になり、塗装がより楽ちんに。細かいところですが、組み立てる時のことを考えた分割です。


その他のディテールについても、キレキレな仕上がりがパーツ段階でよくわかります。多数のパーツが組み合わさっていることが読み取れるローター基部や、細かいメッシュ状のモールドが彫られた排気管など、戦闘機のプラモデルではまず見られないディテールがぎっしり。同じように空を飛ぶメカではありますが、全然違うものなんだなあ……と思わされます。

パーツ数が多く、また細かいパーツがかなり多いので、組み立てにはピンセットは必須。胴体は大きく左右分割されているので、コクピットを挟んで接着すればそれで機体の大枠はできちゃうのですが、とにかく細かいアンテナやら取手やらアクチュエーターやらといったパーツが多い! 細かい部品をくっつけていくことでディテールが増え、次第にゴテゴテした「現代の戦闘ヘリです!」という雰囲気に近づいていくのでやりがいはあるのですが、とにかく部品点数が多いので焦りは禁物。場所によってはクリアパーツに部品を取り付けるような箇所もあるので、接着剤を使い分けつつ休み休み作業を進めましょう。


ということで組み上がってみると、非常に緻密で精悍なアパッチが完成! 至る所に電子機器がくっつけられ、スタブウイングに武装を満載したその姿はいかにも強そう。まさに空飛ぶ戦車といった風格があります。バッチバチにリベットが打たれた外装と、ローター基部やコクピット周辺、機首下面の機関砲周りに集中した複雑なメカ部分との対比も超かっこいい。メカデザインにおいてはディテールの粗密が大事と言いますが、そのお手本のような密度のバランスです。


2001年の元キットの発売以来、何度も使われている金型だからかバリも多く、前述の細かいパーツの多さもあって、正直組み立てやすいプラモデルとは言い難いところがあります。また、ただでさえパーツが細かいのに説明書の接着位置の指示がかなりフンワリしていて、何をどこに取り付けたらいいのかを読み取るだけで時間がかかる場面もしばしば。「プラモデルを作ったことがない人でも安心して組み立てられます!」とは言いづらいキットなのは間違いありません。

が、組み上がったところを見れば、アパッチの形状をほぼ完璧にトレースした形状と高密度なディテールに、惚れ惚れすること間違いなし。あえて手垢のついた言い回しを使うならば、あの「飛行機のハセガワ」が本気で超有名攻撃ヘリに向き合った結果がここにあります。パーツ数の多いキットとがっぷり四つに組んでねじ伏せ、その結果としてハイディテールな完成品を手に入れる。そんな歯応えのあるプラモデルとのせめぎ合いを楽しみたい方には、ぜひトライしてほしいキットです。