ミニ四駆を塗りたい。今の私はとにかくミニ四駆を塗りたいのだ。むちゃんこカッコいいフィギュア『少女発動機』を見ていたら、同じくAF_KURO氏がデザインしたレイザーバックを落ち着いたグレーと差し色のコンビネーションでカツーンと仕上げたくなってしまったのである。早速レイザーバックを買ってきたのだが、ここではたと手が止まる。さてはこの緑のパーツ、普通のプラスチックじゃないな?
この緑のパーツの材質はPOM。耐摩耗性があるのでアクションフィギュアの関節なんかにもよく使われている。そしてホイールのパーツはPP。ポリプロピレンだ。どちらもそのままではプラモ用塗料が乗らないことで知られており、専用のプライマー(下地剤)を塗らないといけないというのが一般的な認識だ。
まず思いついたのはタミヤの瞬間接着剤用プライマーである。ボトルにPP・PE・POMと書いてあるので、とりあえずそれらに塗ることを想定されているが、あくまで瞬間接着剤が使えるようになるアイテムなので、塗装の下地として機能するかどうかは謎だ。
もうひとつはプラモのPE(ポリエチレン)製パーツに塗ると何故かその上から普通に塗料が塗れるようになる……というMr.メタルカラーである。たまたま手元にブラス(=真鍮色)があったのでそれを下地代わりに塗ることにした。PPとPOMを塗りたいのだから、PEとはまた違う結果になるかもしれないけど……。
瞬間接着剤用プライマーとメタルカラーを片面ずつ塗った上からガイアカラー(ラッカー系塗料)を普通に吹き付ける。弾かれたり妙な反応が起きたりしている様子はない。これは……!?
見た目に乾燥した状態で、いざ実食!
なんと、メタルカラーを塗った上からであれば、ラッカー系塗料は普通に乗るし竹串でこすったくらいでは剥がれない程度に定着するじゃありませんか。もちろん実際にコースを走らせてガシガシと衝撃を与えたときのことは保証できませんけど、いまのところ爪とかで引っ掻いてもどうということはありません。
ということで、ミニ四駆(あるいは可動プラモのPP、POM製パーツ)を塗りたい場合はメタルカラーを下地に塗ると案外普通のプラスチックみたいに塗れるしそれなりに耐久性のある塗膜が得られる、ということがわかったのでした。嬉しい。そんじゃまた。
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。