何処の軍隊にも「頼れる足」の存在である乗用車サイズのクルマがあります。古いところでいえばドイツのキューベルワーゲンとか日本軍のくろがね四起とか。性能的にも問題のない名車ですが、やはりアメリカ軍の「ジープ」ことウィリスMB(フォードGPW)が戦後の軍用小型車両の基礎となった存在と言えますね。アメリカ軍もこのウィリスMBのシルエットとほぼ同じM38やM151などを使用していました。
では陸上自衛隊では? という話になるとこの「ジープ」という愛称で呼ばれている73式小型トラックになるわけです。今ではこれの後継機としてパジェロという愛称で呼ばれている1/2tトラックが装備されていますが、一部のジープは今でも現役で使われています。元々この車輛は三菱自動車が生産していた三菱ジープがベースとなっており、この車輛自体はウィリス社のジープのライセンス生産だった為、アメリカ軍のM38とは兄弟車輛のようなもの。ジープという単語が飛び交っててややこしい話だなあ!
そんな「陸自のジープ」こと73式小型トラックのプラモデルはファインモールド製。自衛隊の車輛を国内メーカーから出ているというだけで感慨深いものがありますなあ。バリエーション展開もされていて、機銃装備型とか無反動砲装備型とか、やる気マンマンスタイルの同車輛もありますが今回取り上げたのは一番シンプルな展開された幌付のキット。さてパーツをチェックしてみますかね!
オリーブドラブの成型色はディテールも見やすいし、完成後もかっこいいのでワクワク度が爆上がりです! 形状はシンプルな車輛ですが、パズル状に組み上げていくと徐々にジープの全景が見えてくるのは楽しい瞬間ですねえ。さて、今回敢えて武装型じゃなくて幌付のキットを選んだかというと……。
そう、クリアパーツに見事に彫刻されたシワです。これを見るが為にこのキットを買ったといっても過言ではないぞ!!!
幌のスクリーン部分は実物は畳めばぐにゃるわけで、硬質なはずの透明プラパーツにシワが刻まれているのは本当になんかこう、嬉しい。プラモデルとして幌を装備したオープンスタイルの軍用車なりカーモデルは昔からありますが、なかなかこの「透明スクリーンのシワ」と出会う事はなく、かといって自作再現は難しいので、こうしてキットで再現されてるのはありがたいもんです。
集中すれば半日で組み上がるぐらい作りやすいキットです。シルエットもよく見慣れた感じだしね! 今でも時々民間タイプの三菱ジープを見かける事もあったりしますが、昭和から平成にかけての「自衛隊の足」として長く慣れ親しんだデザインだけあって親近感がありますな。同社からは専用のディテールアップパーツなんかも出てたりもするので楽しみ方は広がるぞ! 超オススメです!
1977年生まれ。戦車道とスピットファイア道を行き来する模型戦士。生まれ育ちは美濃の国、今はナニワ帝国の片隅でプラモデルを作る日々でございます。