DJマシーネンのビートに乗って最強の世界を塗ってみないか?

 HIP HOPのフリースタイルバトルが好きでよく見るのだけど、出ている人たちはその場でいろいろな言葉を並べて対戦相手よりもいかに自分が優れているのかを示そうとする。ターン制で3ターンだったり2ターンだったりするのだけど、面白いのは始まりの一言はきっかけに過ぎない。

 韻やフロウという自身が繰り出す技術的な面と、相手や後ろで流れるビートがもたらす外的要因が混ざり合って思わぬ言葉の羅列が発生し、抱えているバッググラウンドも様々なので同じことをやっているのにまるで違う個性がぶつかり合う。違う者同士が彩りを華やかにしあう世界だとも思う。

 マシーネンクリーガーの塗装は自分にとってまさにそんな感じで、思いもよらぬ方向に進む。前日の深夜から明け方に作っていた1/35ファイアボールSGの全体を黄緑で綺麗に塗ったので、そのまま野菜みたいに仕上げようと思いつく。自分で自分にいたずらをしたくなって一番出っ張っているところから淡い緑をぼとり。「そういえば最近はフィギュア塗装の目を描く調子が悪いんだよな……」と思いながらぐるぐると縁を描いて丸を作る。思ったよりも描けている。

 そのあとは繊細に塗り込んで行こうと思っていたのだけど、円を描いていた太めの丸筆の描き心地とスピード感が心地よくて、そのままリズムに合わせて塗り進めてしまった。しかも綺麗な緑色という気持ちだったのに反対色のナスみたいな紫を組み合わせて和菓子みたいな色合いのものを生み出す。

 勢い重視かと思いきや、紫にはほんのりベースとなった黄緑を混ぜたりして調和を図っているのが「いつのまにか身についた技術!」という感じ。ただの早口じゃなくてリズムに乗れているし、韻も踏めてる。そろそろ終わりが見えてきたような気がするのでデカールを眺めると、スカル柄のデカールが最高にかっこいい。これに着地できるように進んでいくぞと、まとめにかかる。というか偶然にも紫部分の色が近くてラッキーだ。

 マシーネンクリーガーは自由な塗装で無限に広がる世界観が持ち味だなと思うのだけど、それにタップリ甘えられるのは塗りやすかったり筆で撫でたくなる曲面を持ったマシンデザインの影響が大きいように感じる。それでいてとびきりかっこいいデカールで最後に仕上げれば、間違いなく形になる。

 ノリやすく、上がりやすいビートの上で自分が描いたものはフリースタイルバトルとはまた違う、形に残るというよさがある。始まりの黄緑は、この完成形のきっかけにしか過ぎなかった。

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。