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【レビュー】ポンプの周りに何を置く?/ミニアートのプラモデルが教えてくれる街の景色の面白さ

 手押しポンプ自体はそもそも惹かれるモチーフで、それのプラモデルがあるというとそれだけで嬉しかった。昔の街並みを連想させるが、ヨーロッパっぽさを勝手に感じるのはミニアートの製品だからだろう。NHKの『世界ふれあい街歩き』やBS日テレの『小さな村の物語 イタリア』に出てくるような、華やかではなくともどこか憧れを抱く海外の日常へと繋がる良さがある。

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 ポンプ本体はシャープで、実に作り甲斐のある造形だ。単純に縦に割られているのかと思いきや、蛇口が片側に一体成形されているおかげで目立つ合わせ目が出ない。レバーの上下を選択できる細やかさも良い。使い終わった状態ならレバーは下がりきっているはずだが、あえて上がった状態を選べるのもドラマを演出する余地がある気がする。

 組んでみて初めて意識させられたのが、排水溝のパーツだ。ポンプの水の行き先として用意されたものだが、地面に直接埋め込むのではなく、少し高さを盛った台座状に造形されている。なぜこの構造なのか気になって検索してみたが、すぐには同じような実例は見つからなかった。というのもヴィンテージのウォーターポンプを探すと本体しか画像が見つからないのだ。排水はどうなっているのかという意識の向き方はキットとして一式を手に入れたからだと気づいた。

 ポンプ単体ではどこか素っ気ない。バケツやタライといった生活の道具を添えると、急に暮らしの拠点としての属性を帯びてくる。置きっぱなしなのは個人の敷地だからか、それとも住民がそれぞれ持ち寄ったものなのか……と様子が見えてくるのが楽しい。

 面白いのは、同梱されている容器類の多彩さだ。何に使う道具かを考えることで、このポンプが置かれている場所が見えてくる。ミルク缶なら牧場の端、桶やタライなら給排水や洗濯を行う共同の水場といった景色が浮かんでくる。「では、地面はどうなっているか」と思考が進み、今回は市民の暮らしの場という空気を出すために水はけの良い石畳を合わせることにした。昔ながらの風呂場やテレビで見た海外の共同洗い場を思い出させる床面だ。身近な生活を模した模型には、記憶やイメージを引き出すトリガーとしての役割があるのだと再認識させられる。

 付属するエッチングパーツは結構細かくて、取り付けるのに失敗してしまった。タライと小型ミルク缶の取っ手がそれだ。ただ、それを差し引いてもこの小物がもたらす空間の説得力は揺るがず、どこかのどかな雰囲気が小さな空間に表れる良さは変わらないとも思った。

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クリスチのプロフィール

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

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