
想像を超える面白さを持ったプラモデルだ。同じランナーが2枚入っているなと思いながら、とりあえず目についたハシゴをニッパーで切り取ってみた。バリやゲート痕を少し整えて、接着剤を入れたカゴに立てかける。それだけで「ハシゴです」と言わんばかりのオーラを放つ。見慣れた単純な造形がそのまま縮小されるだけで、人間の脳にどれほど強い刺激を与えるのかと驚かされる。

ベンチとテーブルを作ろうとして、ベンチが組み上がったのは良いのだが、テーブルの天板を見てみると、ベンチの座面を2つ隣り合わせて貼り付ける構造になっている。日曜大工でなんとなく寸法を決めて作ろうとしたら、きっとこうなるはずだ。板材の切り出し効率を考えても理にかなっている。それに、この設計で不自由するような使われ方をするテーブルでもないのだろう。試しに今座っている椅子とパソコンを置いているデスクの寸法比率を測ってみたら、大体それと同じくらいだったので笑ってしまった。

これはミニアートの「Village Accessories」という製品で、役割としてはかなり地味な部類に入る。情景作りの小物として役立てるつもりで買ったのだが、組み上げる前の段階で、何気なくカゴに立てかけるだけでここまで面白いとは思わなかった。最初から完成品として売っているハシゴを立てかけて「ふーん」と眺めるのとは、まったく違うストーリー自分の中で出来上がってくる。ランナーの枠の中から目の前の世界へ解き放つ感覚とでも言えばいいだろうか。このハシゴは具体的な用途が決まっていない間はどこまでも自由であり、その自由さを楽しんでいるうちは、まだ情景やジオラマという枠組みの中に押し込められることもない。コップに立てかけながら「このハシゴを登れるサイズなら、このコーラも飲みきれないほど大容量に見えるな」なんて想像が膨らむのも、よく出来たパーツを自分の手で切り離したからこそなのだと思う。

柵の出来も素晴らしいのだが、こちらは少し使い道を考えてから情景に組み込みたいので、ひとまず手元に置いてある。裏側に斜めに渡された木材が別パーツになっている点も良い。欲しいと思って買うのがプラモだが、パーツを切り離したあとにどんな想像が広がるか分からないのもまた、プラモの面白さだ。こうした何気ない小物たちにそれを教わると、楽しみの幅がまたひとつ広がったように感じられる。