

土日だろうが平日だろうが早朝にパッと起きて公園まで散歩することにしている。そんなある日、選挙看板の設営作業に出くわした。いつの間にか立っているその看板も誰かが手を動かして作っているのだと気づくと、普段は意識しないその当たり前に、妙に感心してしまったのだった。
思い返せば、角材を地面に打ち込むために、柄の長いハンマーを持つ人と、短いハンマーを使う人がいて、「短いほうが狙いが定まりそうだけど、長いほうが力は出そうだな」と、作業を眺めながら考えていた。何人かが周囲で様子を見ながら、ときおり作業をしている人間のサポートをしている光景も印象に残っている。

そんな記憶を思い出させてくれたのが、ミニアートの1/35 塗装作業員だ。最初に見たときは、「ステキな一幕をプラモにしたもんだな」と、その情景のかっこよさに惹かれた。けれど、選挙看板の設営のように、日本の日常にも人が身体を使って街を作っている瞬間がちゃんとあるのだと気づくと、この作業員たちも、急に遠い存在ではなくなってくる。海外の情景として眺めていたものが、自分の身の回りと重なって感じられたのだった。
このプラモデルで特に気に入っているのは、脚立に乗っている男性の足元に凹みがあって、段にフィットするようになっている点だ。左手にも同じような工夫があり、安定して立たせられるようになっている。ただし、バケツの持ち手は付属していないため、アルミ線などで自作する必要がある。アルミ線は、他の棒状パーツが折れたときにも代用できるので、この機会に一本持っておくのも悪くない。

そうそう、選挙看板を作っていた彼らは「今日は暑くなるぞ~!」と笑いながら会話していたが、よく見るとちゃんと機能性ウェアを着ていて、できる限り快適に働けるようにしているのが伝わってきた。もしかすると、今回作った塗装作業員も効率よく塗る何かをしているのかもしれない。声は聞こえなくても、ハシゴにひょいとかけられたペンキ缶の佇まいから、作業中のテンポの良さや、ちょっとした段取りの良さが感じ取れる。こんな風に、日常の一瞬を切り取ったようなこのプラモデルは、とてもいい情景キットだ。