
夏になると無性に観たくなる映画といえば、あなたは何を思い浮かべるでしょうか……私は断トツで『機動警察パトレイバー the Movie』です! むせ返るような夏の空気感、静かに進行する犯罪、そして圧倒的なレイバーの戦闘シーン。毎年、夏が訪れるたびに最低でも2回は観返してしまう、まさに自分にとっての「夏の風物詩」となっています。

そんな『the Movie』の最大のクライマックスといえば、物語後半における巨大洋上プラットフォーム「方舟」での極限の戦闘シーンです。そして、この死闘の幕を開けるかのように登場して強烈な印象を残すのが、赤くて小さな追跡者「カルディア」の存在でした。

方舟の内部を警備するこの小型ガードロボットは、一つひとつは小さく愛らしいフォルムをしながらも、無機質な群れとなり、圧倒的な数で特車二課のメンバーたちを追い詰めていきます。あの異様な不気味さに、どこか不思議と恐怖を覚えた人も多いはずです。今回、グッドスマイルカンパニーのMODEROIDから登場した「HL-98ヘラクレス21 アナザーVer.&カルディア」は、まさにあの夏の記憶を一気に呼び覚ましてくれる夢のようなセットアイテムです。


以前、同シリーズでは「ボクサー」とTVアニメ版仕様の「ヘラクレス21」による奇跡の2体セットが発売されて驚かされましたが、今回の「アナザーVer.」はさらに一味違います。OVA(初期OVAシリーズ/アーリーデイズ)や劇場版『the Movie』の劇中姿を再現するため、レイバー特有のシーリングが無く露出した二の腕や、いわゆる「ブチ穴」の数が異なる肩など、装甲パーツの一部が新規ランナーでしっかりと変更されているのです。


緑色に塗装しているのはプライベートで製作したTVアニメ版仕様。劇中のわずかなディテールの違いをパーツ変更で正確に拾い上げてくるこのこだわりには、思わずニヤリとしてしまいます。そして、そこにあの「カルディア」がセットで付属するとなれば、もはやパトレイバーファンにとって手に取らない理由を探す方が難しいというものです。

思えば、『機動警察パトレイバー』という作品の魅力の一つに、主役である警察用レイバーが対峙する相手が、街で働く「市販の作業用レイバー」であるという近未来の景色を描いていたことにありました。
TVアニメ放送当時、小学生だった私は「ザクやグフのように、イングラムと戦う作業用レイバーたちもプラモデルで欲しい!」と切実に願っていたものです。しかし当時は、主役級以外の作業用レイバーが次々とキット化されることなど夢のまた夢でした。それから30年以上の時を経て、当時の少年たちが妄想していた作業用レイバーを次々と精巧なプラキットとして立体化し、あまつさえ「同じ機体のバージョン違い」や「劇中に登場した小型ガードロボ」まで完璧にフォローして発売してくれるMODEROIDシリーズ。この痒い所に手が届くを通り越した圧倒的な熱量とマニアックなラインナップに接していると、「このシリーズは、もしかして自分のために作ってくれているのではないか?」と本気で錯覚してしまうほどです。本当に嬉しい!!

完成したヘラクレス21とカルディアを机の上に並べるだけで、あの方舟内部の緊張感と夏の匂いが一気に蘇ってきます。当時、画面の隅々まで食い入るように見ていた大人たちに贈られた、30年以上の時を経た最高のプレゼント。今年の夏は部屋を少し涼しくして、あの映画のDVDや配信を流しながら、この贅沢すぎるキットを心ゆくまで楽しみましょう!