グッドスマイルカンパニーから『機動警察パトレイバー』に登場する作業用レイバー、”HL-97ブルドッグ”が1/60のプラモが発売される。……と書くと、「いや、イングラムは?」って思うかもしれないけど、いいんだ。nippperはnippper的に興味のあることを書くぜ。
イングラムのプラモはこれまでにもいっぱいあったけど、ここで「史上初!作業用レイバーのプラモ」が出てくるということがびっくりポイントなんだから。



イングラムは1号機/2号機のコンバーチブル(選択組み立て式)だからそっちが2体セットのほうが良くない? と思う我々を光速で置いてきぼりにするブルドッグ2体セット! 1体あたり1500円ですよ。安すぎませんか? デフレスパイラルか?

本アイテムを企画したグッスマの田中ヒロ氏に「こ、こここ、このブルドッグの値段はどういうことなんですか……」と連絡したところ、形状試作を貸してくれるとのこと。これを自宅でガシャガシャいじっていると、まずモノとしてすごく頑丈な感じがする。そう、このサイズのロボットプラモにしては構造が単純なのが触ってるだけでわかるのだ。


田中ヒロ氏によると、「モナカ割りならなんでもできる!」というのがこのブルドッグのキット化を後押しした最大の要因なんだとか。モナカ割りというのは「フレームがあって関節があってガワをかぶせて……」という近年の標準的なロボットプラモの構造ではなく、「前後or左右に割れた外装をバチンバチンと組み合わせればカタチになる」という昔ながらの構造。関節部分などは外装に挟み込む必要がありますが、パーツ数を圧倒的に減らすことができます。実際このブルドッグ、一緒に発売されるイングラムの半分しかパーツがないのだ。

やられメカで色数もあまり多くないこのブルドッグ。その姿を見ていて「だいたいベストメカコレクション(最初に発売された1/144のガンプラ)のズゴックぐらいのパーツ数でどうにかなるでしょ!」という予感があったのだそうで、お値打ち価格でガシガシ遊べる設計にしたということなんですね。あ、もちろん「構造がオールドスクール」なだけで、ディテールはイマドキのプラモなのでちゃんとしているところが偉い。というか、「構造は簡単だけどディテールがイマドキ」のプラモって組むのも塗るのも絶対楽しいからもっと増えたほうがいいと思うんだよね。
確かに、「ブルドッグの色分けカンペキ、フル可動で内部構造も徹底再現! 5000円です!」みたいな商品を出されてもユーザーは大困惑ですし、キャラの強さとパーツ数のバランスみたいなのをこうした割り切りで差別化するという戦術には大納得です。(それにしてもガンプラって強いMSも弱いMSも全部ちゃんと同じような分割になってて偉いよね……。みんな人気なんだなぁ、モビルスーツ。)


さらに恐ろしいのは、「ブルドッグ2個セット」だけグッドスマイルオンラインショップ限定アイテムだということ。いや、ブルドッグだけ欲しい人、絶対いるもんな……。「工事現場カラーでもいいし造園屋さんの作業メカという想定でもいいし消防とか港湾とかいろんなところで活躍するアタッチメントを適当な流用パーツで作ってもいいし……って、これ10個くらい必要じゃない?」という妄想をしてしまいがちなのがモデラーだしな……。恐ろしい話ですわ……。


続いてヘルダイバーの発売も告知されているMODEROIDのパトレイバーシリーズ。この先もっとスットコドッコイなメカが出てこないとも限りませんから、まずはこのブルドッグをモサモサと増殖させて、「イングラムがいない景色」を作ることを強く強く推奨するわけであります。パトレイバーの新作プラモデルが出るなら何がほしい?という居酒屋トークで「ブルドッグ〜!」と無邪気に言っていたあなた、本当に出ちゃったからには、ぜひ。
テキスト/gunco 写真/からぱた