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【レビュー】Tシャツ、アーマーベスト、グラサン姿! 乗せるだけでベトナム戦争らしさ5割増しの「タミヤ M551シェリダン戦車兵」。

 色々な時期のアメリカ軍の兵員の中でも、とりわけラフな服装のイメージが強いベトナム戦争期。そんな米軍のイメージをドンピシャで再現しているのが、タミヤの1/35 M551シェリダンに付属している戦車兵のフィギュアです。
 とにかく暑い南アジアでの戦闘となったベトナム戦争。その状況ゆえ、兵士たちの服装も乱れがちでした。ラフな服装の記録写真も数多く残されていますが、その中でも独特な着こなしが目立ったのが戦車兵。大量の弾薬や荷物を運ぶ必要があった歩兵と比べると、持ち歩く荷物は圧倒的に少量。しかし戦車兵用のヘルメットが必要だったり、装甲車両搭乗員が狙い撃ちにされる危険を防いだりと、その装備や着こなしには独特な工夫がありました。

 その装備やポージングをきっちり再現しているのが、タミヤのM551シェリダン。戦車兵のフィギュアが3体付属しているのですが、いずれもこの時期の米軍らしい、ヤンチャかつ実戦の匂いのするフィギュアとなっています。

 重ね着が特徴の戦車兵を再現するため、フィギュアのパーツ分割はかなりトリッキー。前を開けて着ている防弾チョッキの前方部分が左右に分割されていたり、Tシャツの袖口で腕が切り取られていたりと、伝統的なフィギュアの分割を見慣れている目からすると、かなり変わったパーツ分割に映ります。

 まずはグラサン姿が目を引くドライバーに注目。被っているのはT56-6というCVC(Combat Vehicle Crewman)ヘルメットで、ベトナム戦争期から80年台くらいまで広く使われたモデルです。戦闘服の上に着ているのがM1969アーマーベスト。このヘルメットもアーマーベストも着心地が良くない上にかなり暑かったそう。しかしこのアーマーベストの「中に防弾繊維がパンパンに入っていますよ」というシワの入り方の自然さといったら……! 惚れ惚れしますね。頭とヘルメットの隙間やヘルメットの形状を正確に再現するため、ヘルメット自体は左右分割になっているので、合わせ目だけは入念に消した方がいいでしょう。

 砲塔の上から顔を出している車長と装填手のフィギュアも凄まじい出来。どちらもアーマーベストとCVCヘルメットを被ったスタイルですが、装填手のほうは熱帯用野戦服であるいわゆるジャングルファティーグではなく、Tシャツの上にアーマーベストを重ねているのに注目です。ベトナム戦争期らしい着こなしで、実に雰囲気がありますね。Tシャツ、アーマーベスト、ジャングルファティーグの3つの服でシワの寄り方や質感が異なるのも芸が細かい。内側が詰まっているアーマーベストと、布地が薄いゆえにクシャクシャと細かいシワが寄るジャングルファティーグの質感の差は、無塗装の方が目立つような気もします。

 車長が非常に自然な角度で50口径機関銃のハンドルを握っているのもいいですね。この機関銃は米・西側のあらゆる戦闘車両についているにも関わらず、ハンドルをしっかりグリップしているポーズを彫刻するのが難しかったようで、市販品をそのまま組んでしっくりくるポーズのフィギュアはけっこう珍しい。銃自体よりも右方向に頭を振っているのも、周囲を警戒しているポーズとして自然です。

 砲塔のハッチに腰掛けているポーズの装填手が、ぴっちりと自然に収まるのも見事。装填手はM16ライフルを抱えているのもベトナム戦争ならではで、移動中や戦線後方でも常にゲリラ的に襲撃される恐れがあった装甲車両搭乗員は、しばしば車体の上に乗っかって周囲を警戒したそう。装備や服装だけではなく、ライフルを抱えて周囲を見張るポージング自体も、ベトナム戦争っぽい要素なんですね。

 ということで、ベトナム戦争ならではの要素がぎっちり詰まったシェリダンの付属フィギュア。シェリダン自体もいいキットですが、フィギュアも見どころ満載なのが伝わりましたでしょうか。組んで乗せるだけでベトナム戦争らしさが5割増しになるので、普段フィギュアは作らないよ……という人も、ぜひトライしてみるのをオススメします!

しげるのプロフィール

しげる

ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。

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