
「ご自由にお持ちください」と書かれた柘榴の鉢植えを持ち帰ったのは昨年のことだ。今年は昨年に比べ数ヶ月も早く開花し、今は実を成して夏のギラギラとした陽射しを浴びて黒い輝きを放っている。調べると食用ではない珍しい品種らしく、そんなものが民家の軒先で配られていたのかと驚いた。

今年の夏は暑く、SNSで友人が「この暑さを何かに使えないものか」と話していた。ベランダの柘榴は、朝に水をやっても夕方には土がすっかり乾ききってしまう。それほど乾燥が早いという事実が猛暑の証明でもあったが、その乾いた土を見ていて気づいたことがある。普段、乾燥に時間を要するもの、模型のジオラマやミニチュアゲームのテレインのことだ。

射出成形品として目ぼしいものが用意されていない場合や、自分だけの世界を作ろうとすると、地面となるペーストを塗り、草や花、石を貼り付けていくことになる。そこでとにかく時間がかかるのが土台と草の乾燥だ。冬場は丸一日かかった気がするし、何度ヒートガンで乾かそうとして「それをやると全てが吹き飛んで大惨事だぞ」と想いとどまったことか。

試しにベランダに出て、エアコンの室外機の上に作成中のベースを置いてみた。刺すような日差しと、室外機から吐き出される温風。絶えず温かい空気が動くその場所は、乾燥させるのにちょうどいい環境だった。時間を厳密に測ったわけではないが、室内に置くより明らかに早く乾いていく。

そこに先日作ったミニアートの木箱やミルク瓶をセットしていくとものの数時間で完成する。これは早い。それに、切り出したプラ板がみるみると姿を変えていく満足度も非常に高い。どうしようもない夏の暑さだが、こんなふうに工作に組み込めるとなると、いざ夏が終わりそうになったときに「乾きが悪くなる季節がやってくるのか」と少し寂しくなりそうだ。