
箱を開けて驚いたのは、メッキパーツがないこと。バイクのプラモデルはフロントフォークやクラッチカバー、ヘッドライトケースなどキラリと光る箇所の質感を表現するためにメッキされたパーツがセットされているものががほとんどですが、アオシマからひさびさに再販された「1/12 あいつとララバイ ZⅡ改 研二仕様」は白/黒/グレー/透明のパーツだけで構成されています。

メッキパーツのメリットは、塗装では表現の難しい鏡面の金属光沢やしっとりとしたサテン地を無塗装でも味わえることにあります。反面、メッキされた表面に対してふつうのプラモデル用接着剤が効かないというデメリットもあります。接着したければ接着面だけ丁寧にメッキを削り落とすか、乾燥に少々時間のかかるメッキ面にも有効な接着剤を使用する必要があります(私がそんなことを知らずに生まれて初めて組んだプラモデルは接着剤を塗っても塗っても貼れないので最終的にメッキパーツがデロデロに溶け、あえなく完成せず……という苦い思い出になったのでした!)。

最近はメッキ調の塗料を含め、シルバー系の塗料でもステンレスやアルミ、チタンなどの色味をイメージした塗料が数多く発売されています。粒子が荒くギラギラしたものから、粒子が細かく滑らかな光沢に仕上がるものまで選び放題。ベテランのモデラーはわざわざメッキを剥がして実車の質感を観察し、素材ごとに異なる種類の銀色で塗り分けることもしばしばです(ちなみに本キットでは銀色のところはすべて「Mr.カラー #8 シルバー」で塗装するよう指示されております)。

本キットは1987年に初版が発売され、その後さまざまなバリエーションが展開されたKawasaki 750RSにあいララ仕様のカスタムパーツとヘルメットを追加した再販品。メッキ加工のコストを省いて販売価格を抑える意味合いも想像できますが、このキットを手にする主要層はおそらく改造や塗装を前提にしているのではないか……とも思えます。そういう意味で「メッキされていない」というのが好ましいと感じる人も多いはずです。

もうひとついいことがあるとすれば、最初からすべてのパーツが普通のプラモデル用接着剤で貼れること。ストレートに組んでそのままの佇まいを楽しむも良し、組んでから気になったところだけおもむろに筆で塗るのもプラモデルの立派な楽しみ方です。メッキパーツの扱いに怯まずノンストップの組み立ても凝った塗装も楽しめる「メッキレス仕様」のバイクモデル、バリエーション展開のひとつとして私は大いにアリだと思います。