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【レビュー】イタリア王立海軍「観光用ボートに爆薬積んでみた」。付属フィギュアも”ヴォーノ”な、勇気の小舟 / イタレリ 1/35 M.T.M バルキーノ

 艦船模型といえば、1/700や1/350スケールの軍艦や空母を思い浮かべる方が多いかと思いますが、個人的に目が行ってしまうのが1/35スケールのボート。マシーネンクリーガーや戦車、ヘリと同じスケールということもあり私の艦船模型の入り口はここでした。そんな1/35スケールの艦船模型を多く展開しているのがイタレリ。今回は、そのなかでもユニークな一隻、イタリア王立海軍の爆装艇「M.T.M バルキーノ」を紹介します。

 爆装艇というのは、爆薬を積んだボート。人間魚雷のような特攻兵器の一種です。玉砕前提に設計された、旧日本海軍の爆装艇「震洋」と違ってこちらの「M.T.M バルキーノ」は、敵艦に激突寸前に脱出する仕組み。同国の人間魚雷「S.M.L マイアーレ」と同じく、操縦者の生存を前提に設計された特攻兵器です。こんな奇想天外な兵器ですが、1941年3月には、イギリス軍の重巡洋艦ヨークを大破させるなど、無視できない戦果も……。

 このキットのボート本体のランナーはたった1枚。2つの船体パーツを貼り合わせればすぐにボートの形に。エッチングパーツも付属し、完成すると精密な造形を楽しめます。

 ちなみに「M.T.M(Motoscafi da Turismo modificati)」とはイタリア語で、”改造された観光用モーターボート”を意味します。もともとは、こんな感じの普通のボートだったんですね。

 そこにカウルを取り付け、ドラム缶いっぱいの爆薬を積んだら、爆装艇に早変わり。観光からの特攻!組み上がるぜ速攻!

 脱出用のイカダもしっかり再現。こんなふうに船尾に2つ折りで備え付けられています。目標から100ヤード(約90メートル)に近づいたところで、舵を固定し、クルーはこのイカダと共に海にダイブ! それがこのボートの運用方法です。ところが、使命感や、ブラックな上官の命令により、ギリッギリの距離まで、自らにチキンレースを強いることになってしまう兵もいたんだとか。

 脱出しても、長机の天板ほどのサイズのイカダなので、待っているのは捕虜になる運命。これで敵陣の海から脱出するのは無理ゲーですね。

 このキットには、フロッグマンスーツ(防水のつなぎ)を着込んだ誇らしげな立ち姿の男前クルーも付属します。ビシッと決まったオールバックに微笑みたずさえた穏やかな表情が印象的です。

 さらに、搭乗ポーズのクルーのフィギュアも付属。ヘッドは、フードを被ったものと脱いだものの2種類から選べます。フード無しのものは、髪が乱れ気味のオールバックになっています。風を感じる素晴らしい造形! こちらは、パッケージアートよろしく、決意をキメ込んだ表情。平常時のフィギュアとはまるで別人です! 戦争は人をこんなにも変えてしまうんでしょうか……。

 この「M.T.M バルキーノ」は、単なるスケールモデルではなく、一人の兵士の決心と戦争の悲哀を模型化した逸品。棚に飾ったコイツを眺めれば、人生のなかの攻めなきゃいけない局面で、勇気をくれることうけおいです。

Motty

1985年生まれの雑食モデラー。マシーネンを入り口にスケールモデルにどハマり。でかいヘリと輸送機が好き。


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