
現在使われているチャレンジャーの先代にあたるイギリス軍主力戦車、チーフテンが生産開始されたのは1963年。バリバリ冷戦期の戦車です。当時の戦車業界のトレンドといえば、軽量・高機動路線。対戦車ミサイルや歩兵用の対戦車兵器が強力になっていく中、装甲を犠牲にしてでも高速で動いて攻撃を回避した方が得策では……という考えで設計される車両が増えていた時期でした。が、チーフテンの設計思想はそれとは全くの逆。第二次大戦時に快速の巡航戦車を投入したもののあんまりうまくいかなかったイギリス軍は、走行を犠牲にした快速戦車路線には疑いを持っており、ソ連戦車と真っ向から撃ち合える重装甲・重武装のヘビーな戦車を作ることにしたのです。

タミヤのチーフテンからは、そんな「硬くて重い」という特徴が伺えます。まず秀逸なのが砲塔の形状。「先端に向けてクサビのように尖りつつ、内部の主砲や機材の形状に合わせて凸凹している」というかなりややこしいチーフテンの砲塔の形を、ほぼ完璧に捉えています。この「先端に向けて尖っている」というのが当時の戦車のトレンドでして、装甲を寝かせて鋭角にすることで正面への防御力を高めつつ、寝かせた装甲によって敵弾を弾き飛ばすことを目的にしていました。

同様の理由から、車体の正面の装甲も丸みがありつつかなり角度のついた形になっています。この時期のMMの現用車両キット独特の、ダークグリーンというよりほぼ真っ黒に近い成形色も相まって、どっしりと重たそうな雰囲気ですね。

重装甲なだけではなく、当時としては大口径の120㎜砲を搭載し、攻撃力にもステータスを割り振っていたのもチーフテンの特徴。主砲に巻かれたバレルジャケットのシワも、1975年のプラモデルとしては相当実感のある仕上がりです。



水平にコイルスプリングを配置し2輪をセットにした、いわゆるホルストマン・サスペンションは実車と同じく2輪をボギーに取り付けてから車体にくっつける構成。「戦車を組み立ててるな!」という実感の湧く工程です。履帯は軟質樹脂製ですが、形状はシャープで「これで全然いいじゃん」という雰囲気。


組み立ててみると、低く構えた独特のシルエットが完成。エンジングリルや車体各部の雑具箱などのエッジはカリカリにシャープで、とても50年前のプラモデルとは思えません。


そして嬉しいのが、臨戦体制の戦車兵のフィギュアが入っている点。装填手(おそらく)がキューポラの縁にもたれかかったポーズも、タミヤの英軍戦車伝統のもしもしポーズの戦車長もどっちも魅力的。ちょっと細かいところをブラッシュアップしてあげれば、今でも通用しそうなフィギュアです。

ということで、今でも全然現役感のあるタミヤのチーフテンでした。パーツ点数も今のAFVモデルほど細かくないので、けっこうパパッと組み立てられるのも魅力。完成すれば冷戦期の戦車独特の雰囲気が漂う、重厚な姿が手に入ります。「チーフテンってこんなにカッコよかったっけ?」となること請け合いのキットなので、みなさまも驚いてみてください!!