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【レビュー】タミヤで味わう、美しき猛獣「キングタイガー(ポルシェ砲塔)」

 第二次世界大戦のドイツ軍を代表する重戦車「キングタイガー(タイガーII)」の、たった50両に搭載された「ポルシェ砲塔」。カウンターウェイトを兼ねて延長された後部による、伸びのあるシルエット……そして避弾経始に優れた美しい曲面を持つ砲塔と、迫力ある車体が魅せるマリアージュは、もっとも美しい重戦車という人もいるほど。そんなかっこよさを安心の組み立て精度で楽しませてくれるのが「タミヤ 1/35 ドイツ重戦車キングタイガー(ポルシェ砲塔)」です。

 キングタイガーにはポルシェ砲塔の他に「ヘンシェル砲塔」と呼ばれるものがあります。この後者の砲塔がキングタイガーの標準砲塔になります。そう、今回ご紹介するポルシェ砲塔には欠点があったのです。

 ポルシェ砲塔の形状は避弾経始には優れていましたが、曲面の多い砲塔は生産性が悪く量産に馴染まないという意見が生産部門から出されました。そしてもうひとつの大きな問題が「ショット・トラップ」です。これは被弾時に跳弾した砲弾が装甲の薄い車体上面や砲塔リングなどにあたり大きな損害を及ぼすというもの。その危険性から、すでに生産されていた50両分のみ使用。それ以外はヘンシェル社の砲塔が量産されるのです。

 イギリスのボービントンにある「ザ・タンクミュージアム」には、現存する唯一の試作型の「キングタイガー(ポルシェ砲塔)」が展示されています。昨今復元プロジェクトが発表され、融資から寄付を募っています(記事最後に動画のリンクを貼っておきますので見てね)。これはヘンシェルが製造した3輌のプロトタイプのうちの2番目(試験用車台V2)で、1943年12月に完成しました。この車両は実戦部隊に配備されることはなく、ヘンシェル社内に留まり各種試験に使用されていました。

 戦争末期にドイツ・ハウステンベックのヘンシェル試験場でイギリス軍により捕獲されます。現在も、ヘンシェルが排気圧試験用に取り付けた改造排気管が装着されたままと、なかなかに面白い特徴もあります。ツィメリットコーティングもされていないので、つるんとした表面となっていますね。

 こちらが量産された(ポルシェ砲塔も50も作られているので量産といえば量産なのか……)ヘンシェル砲塔。ポルシェ砲塔よりも勇ましさが前に出ているイメージがあります。どちらもプラモデルで発売中なので、ぜひ作り比べしてみよう!

 ポルシェ砲塔のキングタイガーの多くは「ツィメリットコーティング」(装甲表面に非磁性体のコーティングを施す事で磁石を用いた吸着を無効化するコーティング)が施されていました。キットにはコーティングが施されていないので、ポルシェ砲塔のキットを作るときは一緒に「1/35 ディテールアップパーツシリーズ No.49 ドイツ陸軍 キングタイガー ポルシェ砲塔 コーティングシートセット」も買っておくと、お手軽にコーティングを楽しめますよ。

 こちらがコーティングシート。細かな凹凸がプリントされているシール状のシートをカットして貼るだけで、ツィメリットコーティングが楽しめます。粘着力も良く、今日タイガーIに貼ったシートも、まだ剥がれたり捲れたりしていません。

 このキットの美点は、このシンプルさ。キングタイガーという見るからにボリューム満点そうなモチーフを、多くの人が週末2日程度で形にできるように設計されています。1993年発売のキットですが、古さも微塵も感じられません。

 そしてランナーの中でポルシェ砲塔がほぼ完成しています。この美しさを塊で手にできる快感。最高です。

 車体も上下1パーツずつなので、各面を箱組みするような組み立て工程はありません。すぐに足回りの製作に取り掛かれます。

 履帯は接着可能な軟質性のベルト履帯。ぐるんと巻いて両端を接着剤で貼るだけで完成します。接着剤の乾燥時間を考慮して、一番最初に作っておくと良いでしょう。

 細かなボルトのディテールがシャキシャキ。こういう小さなメリハリが、重戦車の迫力を後押ししてくれます。タミヤのボルトの彫刻、かっこいいですよ。

 ティーガーIを凌駕する主砲「8.8 cm KwK 43 L/71」をしっかりと固定&可動させるために、ビス留めが採用されています。その分、砲尾のパーツなどは作らないので、スピーディーに砲身が完成しますよ。

 ドイツ重戦車の箱根路とも言えるのが足回り。キングタイガーも多数の転輪を作ることになります。こればかりはしょうがないですので、好きな音楽や映画なんかをかけながらリラックスして作っていきましょう。

 フィギュアは1体付属。コード類もモールドされていて、メリハリある彫刻が特徴的なフィギュアとなっています。

 コーティングシートを貼りながらでおよそ6時間で完成しました! シートを貼らないで作ったらその半分で完成できるでしょう。カクカクとした傾斜装甲の車体に、湾曲した砲塔が搭載されるこのバランスがなんともかっこいいのです。

 弱点があった砲塔ということで、なんだかネガティブな要素が付きまとう「キングタイガー ポルシェ砲塔」。でもそのシルエットは本当に美しく、重戦車の迫力の中に優雅な意匠を感じさせてくれます。実際にこの砲塔が搭載されたキングタイガーは、ノルマンディーに上陸してきた連合軍をいち早く迎え撃っています。そんなドラマもしっかりありますので、ぜひ作ってあなたのコレクションに加えて欲しいです。

フミテシのプロフィール

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。

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