
ハリウッドモンスター映画やメトロポリスなど、名作に登場する数々のキャラクターをモチーフとしてきたエクスプラスのプラスチックモデルシリーズ。そのボックスアートや組み立て説明書に往年の海外映画ポスター、かつてのオーロラ社といった欧米製キットのテイストも取り入れるなど、そのトータル演出でも人気を博しています。近年は平成ガメラモチーフのキット化にも取り組むなど、精力的な今後のリリースにも注目です。

そして、同社のキットはその造形と共にプラスチックの成形色設定も見所です。モチーフのイメージに合わせた成形色にするというアプローチは、多色成形前夜から連綿と続くプラスチックモデルのプロダクト流儀のひとつではありますが、そうした中でもモチーフと成形色において近年屈指の合致を見たのが、この “ブライド”です。登場する映画『フランケンシュタインの花嫁』はご存知1935年公開の白黒作品で、劇中の怪しげで薄暗い研究室や怪物が着る暗色のジャケット姿とのコントラストによって、ブライドが纏うドレスは白であるという印象が際立っています。本キットでは、こうしたイメージがオフホワイト調の成形色として再現されました。では、そんな成形色からも魅せてくれるキットを見ていきましょう。


シュリンクを解き、厚紙を丁寧に組み合わせた箱を開けると、そこには欧米キットのテイストを感じさせる全て英字表記でお馴染みの組み立て説明書。本キットでも全体のパーツ数は少なく抑えられ、そのほとんどが劇中再現へと注力された実験台に配分されています。そして、ブライドはドレスと包帯姿のなんと2体入りです!

PRO TIP! の表記が目を惹く塗装についての解説コーナー。眼球の塗装方法だけでなく、モールド化されている睫毛に描写していく方法もしっかり掲載されています。

まずは包帯ブライドから。包帯表現のキモとなる各所のほつれや布地感がしっかりと施されています。ドレス姿でも後述したいのですが、十重二十重に折り重なった包帯からもしっかりと包まれた人体のフォルムがパーツ状態から既に伝わってきます。

頭部パーツにフォーカスしてみます。包帯ブライドの重要なディテールである包帯を留める大きな安全ピンもしっかりモールドになっているところに注目です。後年のパンク文化にも大きな影響を与えたとされるブライドの安全ピンの意匠は、怪物の造形を担当したジャック・P・ピアースや当時の制作スタッフ陣のハイセンスが表出されたディテールですよね。

下半身から脚部にかけてのパーツも、骨盤や大腿部から脹脛にかけてのフォルムがとても自然に造形されています。

包帯を解いたドレスブライドの顔が配されたランナーには電光のエフェクトもパーツになっています。リアリティのある人物造形だけでなく、イメージを抽出したユーモアのあるエフェクトパーツを同梱するところにも、エクスプラスシリーズの遊び心が感じられます。ヘアスタイルで特徴となっている両サイドのウェーブ状の髪を別パーツとすることで、塗装フィニッシュユーザーにも配慮されているのも嬉しいです。

凛々しいブライドの表情。前述の通り、睫毛のボリュームがモールドになっておりブライドに扮したエルザ・ランチェスターの雰囲気もしっかり表現されています。

ドレスの背面パーツ。ご覧ください、この絶妙なシワの落とし込み方。内側の形、そしてそれを経て重力に沿って流れていくライン、このパーツだけをしばらく眺めていられること間違いなしです。


実験台はベッド部分とベースとなる実験室の石畳床が大きくパーツ化されており、これにL型鋼やフレームのパーツを組み合わせていきます。こうしたベースにも力を入れるところも往年の欧米キットを感じさせるところですが、ブライドと同様に実験台とその周りにもモチーフの素材感を見せるモールドやプラ製の鎖など、精密なディテールが散りばめられています。このように、あくまでもレトロなのは演出の部分であり、キットそのものは現在視点のクオリティで造形されていることを端々に見ることができます。



医療用ノコ、鉗子、フラスコといった実験台周りのアクセサリーも充実しています。映画モチーフで欠かすことができない最重要パーツである銘板ももちろん付属!公開当時の映画ポスターを彷彿とさせるフォントが凸モールドで表現されているのも粋です。


2体セットなので定位置の石畳上に立たせるだけでなく、包帯ブライドを実験台のステップに乗せたりしても画になります。ここに豊富なアクセサリーを配置する楽しみも。

外見の異なる同一ポーズという演出がされている今回のブライド。モールドだけでなく、約20cmというサイズを感じさせない自然な佇まいの造形、実験台という舞台装置も含めオフホワイトの表徴に落ちる陰影と、プラスチックならではの光沢と質感が立体としての在り方をとても美しく見せてくれる素晴らしいキットでした。成形色を通して「映画タイトルとキャラクターから想起されるイメージ」「プラスチックの質感」「形を見ること」、これらを三位一体で見事に際立たせた傑作プロダクトを皆さんも是非体感してみてください。