

徹頭徹尾、肉感的なプラモデルである。身体だけでなく、武器も、衣装も、飾り付けるための台座すらも、たっぷりとしたプラスチックの厚みとコッテリとした彫刻に満ちている、という意味で。
アメリカにおける「ビキニアーマーの女剣士」の筆頭格、レッドソニアのお出ましだ。(どういうキャラなのかについてはピクシブ百科事典の解説によくまとまっている)。アメコミやムービーモンスターの周囲に題をとったプラモデルを連発しているエクスプラスの最新作。パッケージや説明書のデザインは昔懐かしの輸入キット風に仕立てられているが、中身は令和最新のしっかりとした組み味で、完成時に現れる美しいアウトラインは固定ポーズならでは。
固定ポーズのフィギュアライクなプラモデルはエクスプラスだけでなくマックスファクトリーや海洋堂、バンダイスピリッツなど今や多くのメーカーが参入する一大ジャンルとなっているが、単色のプラスチックで美女をドカンと組み立てさせ、塗装でその良さをさらに引き出してくれたまえ……というコンセプトを堅持しているのはエクスプラスならでは。一見少し茶色く見えるプラスチックの色は、組み立てたときにちょうど肌の色に見えるよう注意深くチューニングされている。

エクスプラスのプラモデルを組むときに重要なのは、英語で書かれた組み立て説明書をちゃんと読むことである。パーツの位置関係を示す概略図は示されているが、組み立てる順番は完全に文章に依存しているからだ。反対に言えば、当てずっぽうに合いそうなパーツを接着していくとあとからパーツがハマらないところにぶつかり、組み立て不能になってしまう。「日本のメーカーなのになんで英語なんだ!」と怒ることはない。中学英語レベルでじゅうぶん理解できるシンプルな構文だし、プラモデルを楽しむのに必要な単語は覚えておいたほうがいい。

ミシシッピ川よりも幅の広いレッドソニアの骨盤と大腿部の魅力的な造形もさることながら、このプラモデルのもうひとつの見所は台座にあしらわれた巨大な蜘蛛だ。仏像に踏みつけられた邪鬼よろしく討伐されて地面にひれ伏すこの蜘蛛は、じつにランナー1枚ぶんのパーツが奢られる。「レッドソニアの強さと肢体の美しさを強調する」という役割を担う大きな栄誉が、このパーツたちによって存分に示されている。

組付けはファジーだが、四角四面なメカと違って生き物はパーツ同士をなじませながら貼るくらいがちょうどいい。お腹がベチャッと地面にくっついた状態で固定され、8本の脚はお互いがうまく噛み合いながらちょうど地面に接するように位置が決まる設計なので、ユーザーはそうなるようにチカラをかけながら貼っていく……というメーカーとの共同作業が楽しい。

髪の毛の分割はこの規模のプラモデルとしては異色と言えるほどこまかく、数多のイラストで描かれてきたティピカルなレッドソニアのヘアスタイル(毛束の太さや流れ)をうまく再現している。パーツの合わせ目を消し、各部の塗装をしながら組み上げる……という工程を考えるとかなり難しい構成になっているが、ある程度大きなユニットごとに組んで塗装し、合わせ目には目を瞑るというのもまったくポジティブな選択肢だと私は思う。

さいわい、レッドソニアをどのように表現するか……というリファレンスについてはごく安価に大量の資料を眺める手段が用意されている。造形のチカラがとても強いので、カタチを楽しんでから筆が入るところにだけざっくり色を置いていくだけでも楽しいし、全体を金属色で覆って銅像風にしてもいいだろう。完成見本のように塗るのが難しそう……と怖気づくのはもったいない。まずは手に入れて、組み立てを楽しんでから戦い方を考えたって、遅くはないはずだ。