
同じモデルなのに、定番も最新もどちらも選べる。その「選べる余白」は、僕が大好きな靴とプラモデルにも共通していました。その時の気分に従って楽しめるからこそ、最高なんです。

スケールモデル、キャラクターモデル問わず、同じモチーフが最新技術でアップデートされて発売されることが多々あります。そして僕たちはその進化を目で見て、手で取り、組み立てて体感し、「プラモデルを作るのは最高だぜ!」って気分になります。でも、模型店で売られているプラモデルは最新キットばかりではありません。一昔前のものから、僕が生まれる前から発売されているレジェンドプラモも並列に置かれています。そしてそれを、あなたが選べば、タイムスリップしたかのように楽しめるのです。そんなことを考えてハセガワの定番モデルで、1978年に発売された「1/72 航空自衛隊 三菱 T-2」を組んでいると、僕の生活にも同じものがあるじゃないかと思ったのです。

それがスニーカーです。僕はこのVANSのオーセンティックという靴が大好きです。1966年の創業当初から存在する最古のモデルとも言われていて、今でも多くの人に愛されています。nippper読者の中にも履いている方がいると思います。この靴もABCマートなどで変わらず販売されているモデルと、同じデザイン(細部は異なるのですが)で、今の技術や素材でアップデートしているモデルがあります。
上の写真の手前が通常のモデル。奥がプレミアムモデルです。一見すると同じやんってなります。

使用されているコットンが異なっていたり、スウェードとコンビになっていたり、カカトのステッチが多く、丈夫な仕様になっているなど、プレミアム(左)、通常ライン(右)細部を見ていくとかなり異なります。お値段もプレミアムの方がちょっと高いです。これも定番キットと最新キットにも言えるような共通点ですね。

見えないところも進化。プレミアムにはVANSの新しい高反発ポリウレタンフォーム、SOLA FOAM ADCというものがセットされています。まさにプラモデルでいうインテリアパーツ。見えない場所にもこだわりが詰まっています。先日1日中京都を歩っていたのですが、これのおかげでとても快適に過ごすことができました。
でも僕はどちらも好きで履きます。プレミアムの方が高品質ではありますが、定番ラインの気取らない感じも大好き。その時の気分で楽しく履いているのです。

T-2も今はプラッツから最新キットが発売されています。プラッツのキットも素晴らしいですが、1000円もせずに購入できて、しかもしっかりと飛行機の形になるハセガワのキットも良いのです。
誰かが「そのプラモは古いからやめなよ。もっと新しいのがあるよ」と言うかもしれません。でも、そんなことは本当にどうでもいい。店頭でグッときたら、あなたのお家にお迎えしちゃうのです。メーカーが長い年月、定番キットを作り続けているのは、そこに“今でも必要とされる魅力”があるから。僕たちは店頭でそれに出会い、手にして、楽しむ自由があるのです。自分の気持ちが「これを作りたい」と動いた、その瞬間を信じればいいのです。

コクピットにはアニキも入る。そして、胴体左右もパチリとあいます。今は高性能の流し込み接着剤も売っているので、当時よりも何倍も気楽に組み立てられます。

1時間ほどで、僕の目の前に「T−2」が爆誕しました。しかも飛行機模型の基本的な組み立てルートの全てが詰まっているので、パーツを全て貼れば、「飛行機模型ってこんなふうに組み立てていくのか」という所作も知れます。安価で、少ないパーツで、すぐに形にできるように設計されているこのような定番プラモデルは、精密化の方向に進んだ模型とは違った体験を僕たちにもたらしてくれます。

そしてプラモデルだから、自分の好きなスタイリングに仕上げてよし! この色にこのマーキングを合わせちゃうぞ〜という自分の好みをぶつけていく。そんなコーディネート的考えも、足元と共通しますね。


僕の部屋には、自分の好みの色で塗ったもの、説明書の指定通りに塗ったもの、最新キット、一昔前のキット、組んだだけのものとさまざまなプラモデルが飾られています。この全てが僕にとっては特別であり完成品です。プラモデルは誰かの正解に合わせるものじゃなく、自分がワクワクする方向に選べばいいんだ……。いつも心の中にそんな言葉を持って楽しんでいます。

最新の良さも、定番の良さも、その両方が並んでいるからこそ“選ぶ楽しさ”がある。レジェンドプラモのT-2とVANSのオーセンティックはそんな余白の楽しみを教えてくれます。だからこそ、僕たちはもっと気楽でいい。最新でも、定番でも、作りたいと思ったものを選べばそれでいいと思います。その自由さこそが、プラモデルのいちばんの楽しさ。今日もお店の棚をのぞけば、そんなプラモデルたちがあなたを待っていますよ。