運転席と助手席にしかドアがないトヨタ車を2台買った。プラモデルだから実現する贅沢な遊びだ。2代目ソアラ(1986)と4代目スープラ(1993)というモデル違い、世代違いであるのだが、タミヤが両キットで再現しているのは当時の旗艦機を象徴する高出力エンジンだ。

大排気量、高出力のこの直列6気筒エンジンの系譜は、トヨタ自動車の歴史を見つめるうえで重要なピースだと考えている。そこで「ソアラとスープラのエンジンだけを組んで塗って見比べる!」を一点の目標として、低カロリーでカーモデルに向き合った。エンジンのみを組むとなると途端にカジュアルになって良い気分転換にもなる。カーモデルの全工程完遂を目標にすると「エンジンは省略されたキットがいいな……」と思いがちな自分だったので、「エンジンが再現されているならそこに全集中!」という逆転の発想でもあるのだ。

高度成長期に威信をかけて世に放ったトヨタ初のストレート6であるM系エンジン。2代目ソアラに登載された7M-GTEUは大排気量化にターボ登載のリッチの極みと化しており、バブル時代の幕開けになんとか間に合った感があった。
改良に限界を迎えたM系の後継として開発されたJZ系はトヨタ半世紀の技術の粋が集結されており、大排気量化かつツインターボ登載の4代目スープラの2JZ-GTEは、世界の自動車史に刻まれた名機といっても過言ではない。2JZ-GTEに限っては堅牢さとカスタマイズの余地ゆえ、今なお超高額で取引されている。直線主体の2代目ソアラ、流線型の4代目スープラ、その外装内装を見つめるだけでも昭和から平成、バブル時代開幕からその終焉という時代性を内包しているし、エンジン単体の外観からも進化と円熟を感じられて面白い。

それぞれのエンジン組み立てはあっという間に貼り終えられるので余力を持って塗装に向き合えた。基本的には説明書の指示に準じてタミヤのアクリル塗料を筆塗り。吸気やミッションのハウジングにはフラットアルミを。オイルパンやプーリーはセミグロスブラック。ベルトやホースはフラットブラック。エンジンブロックは光沢のブラックを。ヘッドやカバーなど実機でも樹脂の部位はプラ成形色の黒のまんまで。そんな風に塗装を楽しんだ後、仕上げに同じくタミヤのスミ入れ塗料(ブラック)でオイル汚れを追加。スミ入れというよりも「ここ、よくオイル漏れやにじみがあるよねー」と、実機を思い返しながらウェザリングを楽しんだ。
筆塗りだけだとのっぺりしていた両エンジンも、スミ入れ塗料ひとつでこれだけリアリティが沸き立つ。全体にウォッシングするのではなく、エンジン上面や樹脂部などオイル汚れが付きにくい箇所にはスミ入れ塗料をまぶさないのがポイントかもしれない。

エンジンだけにフォーカスしたカーモデリングを楽しみ、タイヤをベースにして机上に飾っているけど大変に良い。なんだろう、ミリタリーミニチュアと同じベクトルの喜びがあるような気がする。自分は自動車エンジンに異様な眼力があるから楽しめた一件だったとも言えるのだが、皆さんにもこの「エンジン単体モデリング」をオススメしたい。世の中にはキャラクターが立った自動車エンジンは無数にあり、それをタミヤなどプラモデルメーカーは必ずキット化しており、その自動車メーカーの物語とともに楽しめるはずだ。なにより、スミ入れ塗料でオイル汚れを加えると「うおー!リアルー!」つって、ブチ上がれるので是非。