
かたや、プレーントゥーダービーという革靴は、簡素なデザインとミリタリーシューズ、ワークシューズに使われてきたという観点から人気の高いデザインだ。
しかし、一口にプレーントゥーダービーと言っても、さまざまな違いがある。その中でも優雅なデザインと、疲れにくさの両方を兼ね備えたのは、イギリスのシューメーカーのチャーチが作る、シャノンと言うモデルだ。継ぎのない一枚の革で全体が作られている、ツルンとした美しい見た目。その割にとても大きなヒールがついているので接地性は抜群。美しく、頼れる靴なのだ。

「シャノンのように美しく、信頼性のあるものを作ってしまう国がイギリスなのだろうか」という感想をスピットファイアという飛行機を知ったときに抱いた。キレイで、”THE 飛行機”と言いたくなるようなフォルム。
それに、スピットファイアのプラモデルの中でも、タミヤの1/72 ウォーバードコレクションのスピットファイア Mk.Iを作ったのがよかった。二枚の灰色のランナー+クリアパーツというシンプルな構成で、作り始めると、もともとがバラバラのパーツだったことを忘れてしまうほどの精度。「どこを修理したのか、わからないですね」なんて言葉は、靴修理における最高の褒め言葉のひとつだが、それと同じように、どこを貼ったのかわからなくなりそうな体験が続く。

タミヤのスピットファイアは作りやすく、手のひらに乗るかわいらしさもあり、なんともいとおしい塊だ。プラスチックのパーツを切って貼って組み合わせるだけで、洗練されたプロダクトが手のひらに現れるというのはなんとも不思議な趣味だと思う。飛行機そのものの美しさと、プラモデルという製品の美しさが絡まりあいながら、気付いたら完成しているのだ。