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いつもと違う自衛隊機が教えてくれる飛行機模型の楽しみ方。「ハセガワ 1/48 航空自衛隊 三菱 T-2 アグレッサー GRAND 1986」レビュー

 ”飛行教導隊が1981年の編成完結から9年間使用した初の国産ジェット高等練習機三菱T-2。彼らが乗り込むことで、T-2は「戦闘機」になった”
(並木書房刊『赤い翼 空自アグレッサー』/小峯 隆生著)

 このフレーズ、シビれます。飛行教導群のF-15を追いかけるなかで、制作の推進力にした書籍にあったフレーズ。T-2は飛行教導群がF-15を使う前に装備していた機体で、戦闘機の前に乗る高等練習機。この飛行教導群は仮想敵機をシミュレートする部隊なので、練習機は演習において「強力な戦闘機」へと変化するのでした。

 黒の迷彩塗装、上塗りでおぼろげな日の丸……。まさに異形を体現する姿、毒蛇コブラの真っ白い肌。ガルグレーのT-2を知っていたら、この姿にはぎょっとするものがあるでしょう。そして、T-2といえば先代ブルーインパルスの乗機でもあります。あれが光属性へのクラスチェンジなら、こちらは闇属性へのクラスチェンジ……。パッケージ写真が雄弁に物語ります。

 そしてデカールを見ていきましょう。普段はシャープな日の丸の印刷も、このキットは全部ぼんやり。そしてドクロのマークもあります。額の中央には赤い星、当時の仮想敵のマークを意識したとか。

 この黒いカタマリ、これはフォールスキャノピーといって、機体の上下を誤認させる塗装です。F/A-18やA-10のものが有名ですが、T-2にもあったんだあ……! とことん実戦を意識した塗装の秘密がデカールシートに記されています。

 ハセガワの1/48 T-2はシンプルに機首から尾翼までパーツになっています。カタチになるのも速い。ディテールとパーツ数のバランスがとてもいいんですよね、ハセガワの1/48ジェット。

 主翼は上側が胴体と一体なので、ちょい下がりの角度が自然と決まります。ジグザグのリベット表現もいい感じ……何か足りないと思ったら、T-2ってエルロンないんですね! 戦闘機って内側にフラップ、外側にエルロンという配置が多いので(F-16はどっちの役目もできるフラッペロン)、この中央の太いパネル、スポイラーで旋回するということを知りました。なんやかんやでT-2のデザインって独特なんですよね。F-104にも考え方がちょっと似るというか。

 パイロットアニキももちろんいますよ。このころの隊員は皆真っ黒なヘルメットをしていて、コクピットに二人も乗ったらそれはそれはコワイ見た目になるはず。でもモデラーには単色はやさしいかも。

 前席と後席のあいだ、確かに仕切りがあったなあ……。いい感じの1パーツとして整えられています。キャノピーのキレイさはさすがハセガワ。

 お腹のモールドも迫力満点。当時まだチャフディスペンサーがなかったので、スピードブレーキの中にチャフを詰めて空中にばら撒き、それでなんとか相手を騙したなんて逸話がこの機体の伝説としてあるのですが、なんとそれを考案したのも飛行教導隊のパイロットだった……という話も、冒頭の『赤い翼 空自アグレッサー』のなかに出てきます。F-15の話を求めたら、T-2の話もモリモリで欲しくなっていた……まんまとアグレッサーの魅力に絡め取られたわけです。知らない時代のことも、どんどん繋がってくる。もちろん、T-2自体もいい機体なのでこの特別な塗装を見てジャケ買いも最高なんですが、模型に書籍に、旅をするように繋がっていくのはより楽しいですね。みなさまもこの”戦闘機”のT-2で空自のディープなところを覗いてみてください!

けんたろうのプロフィール

けんたろう

各模型誌で笑顔を振りまくフォトジェニックライター。どんな模型もするする食べちゃうやんちゃなお兄さんで、工具&マテリアルにも詳しい。コメダ珈琲が大好き。

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