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【レビュー】飛行機模型としての魅力が嬉しいバンダイスピリッツ「風の谷のガンシップ」プラモデルを徹底解説!

 展開状態と収納状態を選択できる緻密な彫刻の着陸脚のパーツを見た瞬間に「あ、精密な飛行機模型だ!」という気持ちが一気に膨らみました。バンダイスピリッツの1/72スケールモデル、「風の谷のガンシップ」です。求めやすい価格でいつでも模型店の棚にあるからこそ、なんとなく買わないでいたのがすごくもったいない。そう言えば『風の谷のナウシカ』のプラモデルは「メーヴェとナウシカ」しか作ったことがありませんでした。

 考えてみれば、メーヴェというのは「動力付きの小さな全翼機の上に人間が乗る」というかなりプリミティブで恐ろしい乗り物。あくまで風を利用して飛ぶ凧のような機体だから、車輪の付いた着陸脚はなくてヒゲのようなスキッド(橇)で地面に接しています。ガンシップはメーヴェと比べるとれっきとした飛行機に見えます。現代ジェット戦闘機と比べたらずいぶん小柄ですが、それでも設定の全幅18m(模型では25cmでジャスト1/72スケールなのがわかります)と零戦の1.5倍はあります。

 着陸脚の複雑な造形に加え、さらに飛行機模型らしさを演出してくれるのがパイロットフィギュアです。前席に乗るナウシカと後席のミト爺は指先ほどのサイズで、1/20スケールのメーヴェで豊かな造形を見せてくれたナウシカとは対象的な小ささ。前席は左右の張り出した丸窓からも中が覗けるのでナウシカは両腕を分割して全身が再現されていますが、ミト爺は腰から下を大胆に省略して機体内部に据え付ける設計となっています。

 コクピットを組み立て、左右に分割された胴体で挟み込み、そこに主翼を突き刺して完成……という流れもきわめて飛行機模型的。架空のものであってもあくまで飛行機を模型にしているんだから飛行機模型っぽい体験になるのは当たり前、と言ってしまえばそれまでなのですが、しかしバンダイスピリッツの色分け済みプラスチックと接着剤を使わないスナップフィットで細かいパーツを取り付けていくのはなんだか新鮮です。

 完成してみると薄黄色のポテッとした機体が目の前に現れます。表面のディテールはそこまで多くないのでどうしてものっぺりとした印象になってしまいますが、しかし飛行機模型を作ったことがある人ならばスミ入れや汚しと言った味付けでより飛行機らしい表情に仕上げる方法を知っているはずです。もちろんそうでない人にとっても、いまならさまざまなツールやマテリアルで実感のある表面仕上げの方法が用意されています。安価でシンプルな構成でありながら、飛行機模型らしい組み味と良好なフォルムが手早く味わえるプラモデルとして、もっとたくさんの人に作られ、さまざまな仕上げで語られるべきプラモデルだと感じました。みなさんも、ぜひ。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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