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すでに手元にあるけれど『ガンダム・センチネル』を2度買う話。

▲25年ぶりに2冊目を買った。続刊とかでなく、全く同じ本を。  

 モデルグラフィックス別冊『ガンダム・センチネル』の書籍である。買い足したというのは、「買い替えた」のとはちょっと違う。一度手放したモノを買い直すというわけでもなく、目減りしたわけでも、読むのに困るほど痛んでもないけど「また買った」のだ。

 書籍ガンダム・センチネルの凄いところは1989年(平成元年)に初版を発行して以来、売られ続けているコト。カバー付、折りこみページ有り、カラー/モノクロ混成320ページ。最初に手にした中学生の頃気合を入れなきゃ買えなかった定価¥2800(税抜き)は今でも据え置き(!)。プラモデル関連書籍の価格はどんどん上がっていったので、今となってはもう安くさえ感じる価格だ。徳間書店の風の谷のナウシカ(コミック)に匹敵するロングセラーと言えばその特異さが伝わるかもしれない。そんな「今でも新品で買える古い本」なのだ。

▲2冊手にしたのでこんなカタチで紹介できちゃう。本書のキモだと思う折りこみページの裏表。

 作例のクオリティもカトキハジメ氏によるイラストレーションもさることながら、模型企画としての神髄は嫌でも一番開きやすいページになってしまう折りこみページのディープストライカー「裏側」のモノクロ項。折りこみページ表側の「何者なんだ、お前は?」はこの本でお披露目だったディープストライカーに対するキャッチコピーなのだけれども、そのページの裏項に書かれるのは「ガンダム・センチネルの模型表現」が何であったかに対するタネ明かしで、こちらのページに呼応させた問いかけも含んでいたのかもしれない。

 ここには作例個々の製作記事よりも、使ったパテや塗料の銘柄よりも、ずっと本質的な事が書いてある。この内容をこの本のどこにどう配するかと言えばここしかないだろという位置(作例パートの導入部)にある。ビジュアルを眺めて楽しみたい人にはちょっと大仰なテキスト量の本だと思うけれど、かいつまんででも本質的な部分を読んでおきたいというなら、自分はこの項を強く推したい。ここさえ抑えておけば、あとはなんとなく読み流していても必要な時に必要な情報が紐解いていけるようになっているハズだから。

▲時間を経て解るようになることもある。昔は無可動のガンプラなんてどう楽しんだらいいか解らなかったよ……

 そんな自分もずいぶん歳をとってしまったので可動も変形も完璧なSガンダムを作ってやろうとか、そういうタイプの逞しさは無くなってしまった。一方で「固定モデルとして作られた作例の旨味」への理解度が強烈に増してくる。本書の作例の多くは可動しない(!)。「当時の環境では難しかったので可動を諦めた」面もあるだろうけれど、決して可動を諦めた出涸らしなんかではなく「固定モデルだからこその表現」に溢れている。おかげで自分もようやくガンプラを固定モデルで仕上げるて楽しめるようになった。「固定モデルもいいですよね」と解った風なことを事を言いながらポリキャップをどう仕込むかしか考えていなかった中学生の頃から20年以上経った今頃になってそのあたりが紐解けるようになってきた……そういう付き合い方のできる深さをもった一冊なのだ。

  初版以来30余年の間に雑誌の一企画でガレージキットが出れば関の山といった状況だったセンチネルを取り巻く状況は一変して、変形合体するSガンダムをはじめZプラス、FAZZからガンダムMk-Ⅴに至るまで続々と製品化され「伝説の作例」群の大半はその気になれば立体物を購入して手にできるようになった。本は読んだことはないけれどセンチネルのプラモは組んだことがある、とか出典は全く知らないけれど一番好きなガンダムだよという人だっているメジャー(?)な存在になった。

 そんなメジャーになった「ガンダム・センチネル」の今でも手に入るオリジンとして未読の人には是非いちどは読んで欲しい本なのだ。作例に限らず、小説から設定画/年表にマンガに関係者インタビューまで網羅した分厚い一冊。頭から読む必要は全くなくて、流すように目を通して気になったところを読むだけでいい。そういう読みかたでも十分に楽しめる本だから。バンダイのMG(マスターグレード)ブランドがまだ影も形も無かったころの「リアルロボットプラモデル」の残滓。正直「もう、今直視できない昭和文体」とかがそのままコールドスリープされている本でもあるので覚悟してほしい(オイ)。

 そして自分と同じように既に持っているけどボロボロになっているのを未だに読み続けているという人には新調するのをオススメしたい。「はじめて出会ったあの頃の気分」を味わえるし、もういつ絶版になってもおかしくない存在になってしまったとも思うので……。

HIROFUMIXのプロフィール

HIROFUMIX

1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。

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