

パッケージを開けた瞬間に「これは勝ちましたね」と思う模型というのがあります。タミヤが再販したポルシェ962Cは、まさに勝利確定タイプのカーモデル。ワンパーツで完成されたオレンジのボディ、象嵌された透明プラスチックの窓とヘッドライトカバー。あとはシャーシと、黒いランナーが1枚。威圧感はゼロ。むしろ「こんなに少ないパーツでカーモデルが完成するのか……」という不安にも似た感情が襲います。
でも大丈夫。ドシンプルな構成は必要最低限の構造再現を実現していますし、何よりオレンジの流麗なボディにデカールをバシバシ貼るところまで一直線に進めるところが今回のアイテム最大の美点なのですから。

シャーシ裏を見ると、前方には「ポルシェ・ハンプ」と呼ばれたくぼみが設けられ、後半にかけて空気を引き抜くディフューザーの形状がよく再現されています。ポルシェ962Cはレースカーの歴史の中でももっとも成功した部類に入るクルマとして、多くのWebサイトでその「強さの秘訣」が語られています。読むときにこれが手元にあるかないかでは大違い……。

エンジンこそ再現されていませんが、ミッションケースと絡みながら斜めにレイアウトされたダンパーをはじめ、カッチリとした強度を持つサスペンションがリアタイヤの位置と角度をビシッと決めてくれます。いくつものパーツが入り組んだ構造になるため少し注意力が必要ですが、誰にでも着実に組み上げられるはずです。

コクピットは信じられないくらい狭く、本当に必要最小限の装備しか入っていないスパルタンな空間であることがわかります。フロントの車軸とドライバーの脚の位置の関係、左右非対称なダッシュボードの造形などなど、少ないパーツ数ながら読み取れることはたくさんあります。そうそう、フロントタイヤのホイールはエアロカバー付きですね。

色を塗らずに箱の中に入っているものだけを組み合わせても、だいぶ実車の雰囲気に近い仕上がりになります。ボディはシャーシの上にただポンと乗せるだけで、ボディサイド下部にある穴にプラスチック製のピンを差し込むことで固定されます。

一体成型のクリアーパーツも含め、本アイテムの不思議な構造は1/24スケールのRCカーをディスプレイモデルに転用したことに由来します。細部にまでこだわるモデラーからはある種「鬼門」のように言われているこのボディですが、憧れのCカーをサクッと楽しむ……という意味合いにおいては非常に優れたパッケージングだと感じます。クリアーパーツの接着ってなかなか難しいし)。マーキングはイタリアの名門カルトグラフ製のデカールが付属し、ただパーツを接着してデカールを貼るだけでもじゅうぶんリッチな見た目が期待できます。

無塗装仕上げの場合はデカール保護のための光沢トップコートをしたい……と思ったら、ちゃんと塗装用の窓マスクシールも付属していました。昔ながらのプラモデルではありますが、少ないパーツ数、ボディカラーの選択、そして現代的なマスクシールや良質なデカール、タイヤマークなどを付属させることによってある意味「楽プラ」的にも作れる内容。あらゆるスキルレベルのユーザーに寄り添ってくれる新生962Cを、みなさんもぜひ楽しんでください。