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人類がもういちど月に行くなら、プラモデルを作って祝福しなければダメでしょって話。

 アメリカ人はエンジンが好きですね。自動車が好きというよりエンジンが好きなんじゃないかと思いますが、アメリカのプラモデルといえば自動車でありエンジンであり、さらに「エンジンがすごければそのメカは偉大だ」という国民性によって、ロケットに対する絶大な信奉ぶりもヤバいわけです。だから彼らはもういちど月に行こうとしているし、それに使うロケットはプラモデルになる。

 AMTが発売したプラモデルは、2022年に打ち上げられたSLSを立体化したもの。有人月面着陸を狙うアルテミス計画における最初のミッションで使われたロケットで、無人のカプセルを月周回軌道に乗せて帰還させることに成功しています。アルテミス2は有人飛行するしアルテミス3は月面着陸するらしいので、いやもうすげー楽しみですね。

 ロケットは基本的に筒なので戦車とか戦闘機とロボットみたいな華々しさがありません。アポロ計画とかスペースシャトルは知名度も半端ないけど、それ以外となると人気ジャンルとは言えなくて、私みたいな宇宙開発のオタクがムフーと喜ぶようなプラモデルがチョロチョロ発売される程度。たとえそのデキが微妙であっても、プラモデルは存在そのものが感謝の神アザスなんだよな。

 このプラモデルもご多分に漏れずドカンと竹割りになったパーツのオンパレードで、表面のディテールも決して繊細とは言えない。でもなんか大きいしかっこいいからいいか……。もう一回いいますけど、ロケットのプラモデルは存在していることが偉いので、「存在している!」と思ったら買いましょう。次ほしいと思ったときにはだいたい買えません(忘れた頃に再販されるかもしれないけど)。

 こまかいパーツ……と言ってもまあ普通に指でつまんで貼れるようなサイズのものがちょっとあるくらいで、とにかく組むだけなら全然イージーです。現代のプラモデルなのでパーツ同士に隙間ができることもありません。パーツ番号の振り方とか説明書の描き方がめっちゃ大雑把なのでパーツの向きとかにはちょっと気を使う必要があります。

 問題はデカールで、パッケージ横に印刷された写真を見ながら目見当で貼るには細かすぎます。どこにどれを貼るのかちゃんと理解しようと海外のフォーラムで同じプラモデルにチャレンジしているアニキを探していたら「AMTのアルテミスを塗りたくない」というタイトルの部屋に遭遇。あんまりだ。

 フォーラムでは「これ全然実物と違うしそもそも塗装がめっちゃムズい」みたいな話が繰り広げられていて、最終的にスレ主はSLSのペーパークラフトのデータをもとにプラモデルの寸法に合わせた巨大な自作デカールを作ってロケット全体を包むという難事業に手を出しており、クリスマスまでに終わらせるぞ〜という宣言もむなしく2月中旬にようやく完成させていました……えらいね。

 たしかに実物はオレンジ色の断熱材が吹き付けられていたり黄色いポリパテみたいなもんが塗られていたり、それが規則的かつ幾何学的なパターンだったりして「これ塗装で再現するのヤバくない?」という風情なんですよね。これ徹底再現しようとしたら間違いなくしんどい。キットの説明書に塗装図がないのもなんとなく頷けます。つまりこのプラモデル、オレはオレの塩梅でSLSに見えるように塗って納得するしかない。

 なんかこのサイトで珍しくしんどい話を書いたわけですが、最後にもう一度言っておくとロケットのプラモデルは存在そのものが至高。買って組んでこうして白いまま眺めるだけでもだいぶかっこいいのでOK。でもやっぱりこれ書いてたら塗りたくなってきたのでせいぜいオレンジだけは塗って、デカールも目立つものだけ貼れば気が済むんじゃないかな。やろう。そんでもって、エアフィックスからも今年の新製品としてアルテミスが発表されました。そっちも楽しみです。だってロケットが好きなので……。

著:デイヴィッド ミーアマン スコット;リチャード ジュレック, 翻訳:関根 光宏;波多野 理彩子
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からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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