
秋水という言葉を知ったのは何かの時代小説だったでしょうか。澄みきった水という意味から転じて、曇りのない、研ぎ澄まされた日本刀のことを指す、その言葉の美しさにほれぼれしたものです。そんな「秋水」と再会するのは、プラモデルを作り始めて飛行機に興味が湧いたころ。戦争末期に開発されたロケットエンジンを用いた戦闘機、試製秋水を知った時でした。
現在手に入る中でもでっかい方の秋水、ファインモールドさんの「1/48 試製秋水」です。もともとのキットは90年代の結構昔のキット。それにファインモールドさんのアフターパーツのナノ・アヴィエーションシリーズのベルトを同梱されて再販されたキットです。

まずは組立説明書を眺めていきましょう。果たしてこれは組立説明書なのか、解説書なのかという分量の内容。秋水がどのような経緯で生まれ、完成し、最後を遂げたのか。そのドラマを知ることで組み立てるのが更に楽しくなります。ロケット戦闘機に挑んだプロジェクトXみたいなもんですからね。

付属しているシートベルトの彫刻の細かいこと!アフターパーツといえば、エッチングとかの金属製のものがポピュラーですが、同じプラ製で曲げることができるこちらのシリーズは大変使いやすいですね。厚さはさすがにエッチングパーツよりは厚くなっちゃいますけど、よいディテールです。なんて細かい。

ランナーを見ていくとひと昔前のキットということもあり、押し出しピンの跡がはっきりだったり、ちょっとバリがあったりしますけど、さほどの問題ではないでしょう。パーツの合いやディテールは今でも十分通用するといっていいのでは。

なにより、おっきめの秋水があるという現実の前には諸々の問題は気にならないものです。ほとんどおなじ形のメッサーシュミットMe163ならもっとでかいのあるじゃないかと言っても、解説書を読んだ今の僕はその違いに秘められたドラマを知っていますからね。秋水じゃないと駄目なんですよ。

バキバキ組み立てて行きましょう。とりあえず仮組で行けるとこまで完成。ロケット戦闘機独特のプロペラも給気も必要としない、すっきりとした形と、エンジンとタンクの大きさに伴うずんぐりむっくりした形。唯一無二の造形が楽しめます。

どの形で作るかは少し悩んでいましたが、解説を読んでしまうと、もうこの飛行機を空に飛ばしたくて仕方がないので、そちらの方で。鮮やかなオレンジを空に飛ばす日を思い浮かべて完成目指していきましょう。