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圧倒的精度と表現力で輸送機の概念を覆す傑作プラモ/GWHのC-130H インボックスレビュー!

 いまから13年前。ヤンゴンで信じられないくらい飲酒して朝イチの国内線で移動しようとしたら、ランプバスから薄明に浮かび上がるトルコ空軍のC-130が見えて、これがもうドスの利いた佇まいで心底カッコいいと感じた。輸送機というと丸っこくて鈍重でどこか可愛らしいもの、というイメージはあくまでツルンとしたプラモデルに由来するもので、長駆する本物はこんなに迫力があるもんなのかという驚きはいまでも忘れられない。

 そういう気持ちをガシーッとキャッチしてオリャーッと投げ返してくれたのが上海のグレートウォールホビーというメーカーの最新作、C-130Hである。昨年の全日本模型ホビーショーで試作品を見た瞬間に恋に落ち、これは絶対に作らなければならんしもしかしたらあの日の思い出にちょっと近づけるかも……と思ったのだ。

 ハリのある胴体にくっきりした彫刻、ちょっと重たいグレーのプラスチックがサイズ以上の迫力をもたらしていて、さらに胴体を単純な左右割りとせず天面をまるっと別パーツにすることで形状の正確さと組みやすさを同時にクリアしていることが一目瞭然。こういうテクニカルな話をしなくても、冒頭で書いたような「丸っこくて鈍重でどこか可愛らしいもの」ではなく筋肉質な巨躯が大重量のものを運ぶんだという説得力に満ちている。

 輸送機なので、地上姿勢で作るなら後部のランプを開いた状態でディスプレイしたいのが人情と言うもの。もちろんそれをしっかり理解しているGWHは荷室の内部をちゃんと筒状の部屋として設計し、これを飛行機の外皮が包み込むような二重構造として再現している。硬質な彫刻と柔らかい彫刻が共存するパーツが小気味よく、組む前から楽しいプラモデルだ。

 プロペラは旧来の四角い4枚ブレードか比較的新しい曲線主体の8枚ブレードかを選択可能。これ以外にも各種アンテナやセンサーといった実機のこまかなアップデートに合わせた小パーツがふんだんに用意されていて、マニアックな楽しみにもきちんと対応している。微細なパーツは組むのに少し根性を要するが、それに見合った土台があると「こちらも応えてやりたいぞ!」と奮起する理由になる。

 窓がたくさんある機首上面はまるまるクリアーパーツが用意されていて、窓部分を残して塗り分ける仕様になっている。丸いおでこに対してずらりと平面ガラスが並んでいるため面構成がとても複雑に変化するが、よく見るとその表現もアヤフヤにせず実直に追いかけて設計していることがわかる。

 GWHの過去製品では窓がたくさんある爆撃機など「塗り分けをどうしたものか」と途方に暮れるものもあったが、本アイテムには専用のカット済みマスキングシートが同梱されている。22枚もあるコクピット周りはもちろん、機体側面に開いた丸窓にも対応しているので全体を組み上げてからマスキングシートを貼り、最後にまとめて塗装ができるのも嬉しいポイントだ。

 これだけ凝った作りになっていると「実際に組んでみたら合わないのでは……」と疑心暗鬼になるが、いざパーツを組み付けてみると驚くべき精度で美しいアウトラインが現れる。組み立てには流し込み接着剤を使い、合わせ目を消すためのヤスリがけは最低限に留めておくのがよさそうだ。

 マーキングは米軍仕様のものが3種付属しており、なかでも「92-1536 187AS/153AW ワイオミングANG 2022」と「96-7325 186AS/120AW MONTANA ANG 2023」はそれぞれ横田基地へ飛来した機体を再現可能。日本のファンにとっても実際に目にした実機を模型で手に取れる素晴らしいチャンスとなっている。
 もちろん社外品のデカールや今後期待されるバリエーションキットで世界各国で活躍するC-130Hを再現可能なはずで、既発の他社製品と価格だけを単純比較するのではなく、このキットの実力を鑑みてぜひとも手にとってほしい傑作プラモとして太鼓判を押したい。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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