

世界有数のF-15大国ニッポン。北は北海道から南は沖縄まで、全国各地に約200機ほどが生息していると言われる。そんなF-15の中でも一際異彩を放つ存在がある。コブラマークの入ったアグレッサー部隊「飛行教導群」のF-15DJだ。北陸地方を生息域とし、1機づつ異なる識別色に塗られた機体は、毒を有する危険生物の「警告色」のように奇抜だ。威圧感と恐怖心を与えるその姿を目にすれば、あなたも本能的に「あ、ヤバいやつ…」と理解できるだろう。
そんな危険生物たちはそのジャンルだけで図鑑が出るぐらい人気だから、危険種のF-15だってプラモデルがたくさん出ている。その中から今回は、ハセガワ 1/72 F-15DJ「ミノカサゴ」をつくってみよう。赤茶色に白いストラップ柄のミノカサゴはドレスのような優雅なヒレが特徴だが、その先端には猛毒をもつ恐ろしい毒魚だ。コブラマークのF-15DJにミノカサゴの組み合わせは、一部の専門家によるとF-15史上最も危険な個体とも言われている。真偽は不明である。

キットの中身は安定のE帯F-15DJだ。F-15特有の鋭く尖った機首からスラっと伸びる大きな主翼、強力なエンジンが流れるようにデザインされた美しい姿が再現されている。そう、美しいものには毒があるのだ。カタチが浮かび上がったらグレーの制空迷彩に塗ってしまおう。このキット、ミノカサゴ色の識別色はデカール再現なので、グレーに塗ってしまえば、とりあえずなんとかなるのである。
「いや、ほんとになんとかなるんスカ?」と問われれば、決してそうじゃないのがプラモのおもしろいところだ。見よこの巨大なデカールを!

片側主翼を一枚のデカールで覆い尽くすこの大きさに識別色、国籍表示、コーションマーキング… 全て詰まっている。煮卵はどうする?やっぱりチャーシューがいいかな。えぇーい、もう全部盛りだ!と言わんばかりの大胆なデカールを貼るのには気を使う。
大きいが故に位置決めにも慎重さが必要だ。説明図と実物を見比べながら、デカール軟化剤をたっぷり使いゆっくり馴染ませていく。毒をもって毒を制す。デカールを制すにはデカール軟化剤を持とう。大切なのはデカールとの対話だ。デカールの気持ちになり、寄り添い、ご機嫌をとることが美しい仕上がりへの近道となる。精神論すぎて何も分からないがそういうことにしよう。

さて、頑張って貼り付けたデカールだけど、どうしても境目に隙間が生じてしまうのは避けられない。これはデカールのご機嫌がナナメになったとかそう言う次元の話ではなく、プラモとは元来そういうものなので割り切ってお付き合いするしかない。

「え?じゃなんっスカ? 結局塗るんですか?」
そうです塗るんです。何種かの塗料をグラデーションを作るように混ぜながら、ちょうどいい色を探していく。この時、完璧に同じ色じゃなくても大丈夫!色を完全再現するのは難しいけど、人間の目は良くも悪くも都合の良い方に解釈してくれるから安心して欲しい。最終的な色味は塗料ではなく、あなたの脳で調整するのです。

完成したミノカサゴがこちらだ!普段見慣れたF-15とは全く異なるミノカサゴ色をまとったその姿は、まさに危険生物そのもの。みなさんも空でこいつと出くわした際には、決して手を触れないように気をつけて頂きたい。