

ミニアート。それは1/35スケールで洒脱なフィギュアを作るメーカー。あるいはチーズや肉、野菜とフィールドを彩る小物を得意とするメーカー。サイトでも多くのフィギュアと製品を紹介しています。このフィギュアや小物に全力でパーツを割いて挑む姿勢こそ、このミニアートの本質。このメーカーが戦車や車輌を作るとき、それは大変な製品ができあがる……ということなのです。
「Sd.Kfz234/2 プーマ」はドイツ軍が技術の粋を集めて作ったとんでもない8輪の装甲車です。そろばん玉のようなキャビンに戦車のような回転砲塔を備えた姿で、それぞれ独立懸架方式の8輪駆動。メカニック的に複雑で模型的にも真面目に再現するとパーツ数がとんでもないことになる方式になっています。ミニアートがこれを作るということは、それはもうプラモデルの一大巨編が開幕するというわけです。

「インテリアキット」と描いてあるとおり、これはこのメーカーにとっては、キャビンどころかエンジンまで全部ぎゅうぎゅうにパーツを詰め込む宣言でしかありません。エンジンのシリンダーに刻まれた放熱フィンや補機のようなパーツ、配管系列のパーツがたくさん見えるではありませんか……。あぁ、パッケージではこれみよがしにハッチが開いてエンジンがこっちを見ているではありませんか。
砲塔部分のランナー。5cm砲を搭載したタイプがプーマの愛称で呼ばれました。この8輪装甲車は武装などで形式番号の後半部が変わり、「/3」以降は火力が強化され7.5cm砲になります。もちろん、ミニアートはSd.Kfz234/4もインテリアキットで発売を予定しています。

普通のランナーに見えて、しれっとスライド金型でジャケットの開口部まで徹底再現されたMG42(めっちゃ強い機関銃ね)。こういうところもミニアートらしさが覗きます。

ミニアートはなんでもパーツ化する……とは言いましたが、このようにミッションなどは車内の底板と一体化しています。逆にここを一体化しているということは、「本当はある程度パーツの合理化をできるけど、パーツとして再現したいところはちゃんと選んで設計している」というミニアートの哲学が覗くわけです……。

8輪装甲車のアイコンであるタイヤ。そのふっくら形状や模様の深さを再現するため、トレッド(接地面に見られるギザギザのパターン)の谷間で分割する念の入りよう。8輪分並べてみると、圧がすごい……。

5枚におろされたタイヤと、ホイールの6パーツを組み合わせると左のようなタイヤになります。平たいランナーだと全然イメージできないけど、組んでみるとサイドのふっくら具合やトレッドパターンもバッチリでしょう?

同じようにサスペンションも4枚ランナー。おそらく実車も同じパーツを同じように組み付けて作っただろう、合理性とやりすぎテクノロジーの一端がプラモデルになって現代の我々に突きつけられます。

分厚い説明書はページ24、工程98というゴールまでの長さを教えてくれます。でもIV号戦車よりはカンタンだよ、と経験者はグルグルした目で語ります(私だ)。


クリアーパーツの透明度、ライトのディテール、こうやってミニアートらしさはランナーの精密感でたっぷり味わえます。組むことはチャレンジングですが、ミニアートはパーツの造形を楽しむだけでもなかなかなんです。とくに8輪装甲車は内に外にそのテクノロジーが覗くマシンであり、ミニアートらしさが最大発揮されるモチーフ。ぜひインテリアつきで召し上がっていただきたい製品です!