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掘り出し物に遠い未来を垣間見た話/シド・ミードの遺したモビルフラットのプラモデル

 奈良県の蔦屋書店で開催されている『SYD MEAD LAB.2024展』に行ってきた。スケッチやポスター、製品になった立体物が展示されており、シド・ミードの仕事の一端を知ることができた。
そして物販コーナーには過去に発売されたグッズや画集やプラモデルなど、彼にまつわるものからそうでないものまで未来を感じさせる品々がビンテージ扱いで売られており、その中からガンプラのモビルフラットを購入した。帰宅し箱を開けて確信したがこれは発売当時の品だ。実に四半世紀の時を越えて巡って来たことになる。

 起伏の少ない曲面に配置された円弧や直線のラインが彼のデザインに共通している点だと思うが、モビルフラットの頭部にもその要素が見て取れる。目はどこにあるのかつい探してしまう。人型ロボットの顔に求めている格好良さから離れた表情を観察していると、自分がいる時代や文化的価値観から遠い所にあるデザインだと感じる。

 胴体のパーツは目が眩みそうな蛍光オレンジで成形されている。車を保有している人には通じると思うが、フロントガラスの撥水剤でおなじみのガラコのパッケージと同じ色だ。たった3パーツとはいえ主張がとても激しい。この機体の特徴でもある背骨状の意匠も再現されている。ここにも曲面のなかに直線的なラインを配置していることがわかる。
手は1/144スケールのキットらしからぬ大きさ。ポリキャップと同じ材質のハンドパーツも付属しているが元のデザインを尊重した専用設計である(というかオーバーサイズ過ぎてそうせざるを得なかったのだろう)。

 平べったい見た目からフラットというネーミングには納得。カカトの形状からハイヒールという愛称が付けられたのも面白いセンスだ。親しみやすい名前が付いた途端、冷たく感じたデザインにも血の通った温かみがあふれてくる。

 シド・ミードが生前残した言葉にはこうある。
「ここでの仕事はやり終えた。彼らがこの私を連れ戻しにやってくる。」
彼は宇宙の彼方に行ってしまったのだろうか?それとも遥か未来に帰って行ったのだろうか?私の手元にはその手掛かりだけが残されている。

ねこやなぎ

1990年生まれの会社員。休日はプラモデルとイラスト制作に明け暮れる。

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