実録 シド・ミーディング。/ウォドムの気まぐれドローイング仕立て

 シド・ミードに、『∀ガンダム』に心酔した人ならば一生の夢のひとつであろう「ウォドムのプラモ作りてえ」という夢が、部分的に叶いました。部分的、というのはウォドムというデカくてめちゃくちゃかっこよく、強いロボをモチーフとした「ウォドムポッド」という機体が『ガンダムビルドダイバーズRe:RISE 』に登場して、そのプラモが発売されたから。つまり、ウォドムとウォドムポッドは違うんですけど、ウォドム的なカタチのプラモが出たことそのものがめちゃくちゃ嬉しい。

 これは組まなきゃ!とひさびさに発売日に即ゲットして家でしげしげとパーツを眺めては、どう仕上げたもんか悩む毎日。だってこれはウォドムに似ているけどウォドムではない。ウォドムっぽい色に塗るというのは地球上のガンプラファン5億人くらいがもう実行済みのネタなので、同じことはしたくない。

 かといって、きっとそのままよりカッコいいカラーリングが思いつくかと言うと、そんなセンスはオレにはない。とりあえず組んでから考えよう。

 組み立てはマジで超ノンストレス。ポリパーツもないし、細かい色分け用の分割もほとんどない。ズバズバパーツを切ってビシバシ組み立てていくとあっという間にウォドムらしきカタチが出来上がる。何より、人のカタチをしていないのが嬉しい。見たことのない組み味。これこそがプラモをやっていて一番テンション上がるときなんだよね。

▲嬉しすぎて腰の後ろのデカいユニットを付け忘れて撮影。
▲いったんバラします。

 そうだ、白くしよう。とりあえずなにも考えずにウォドムを白くすることにしました。シド・ミードのデザイン画はだいたいモノクロで、カタチがだんだん定まってくるにつれてカラーのマーカーで陰影が乗せられていきます。

 白といっても真っ白にするのは大変。模型用の白い塗料というのはあんまり隠蔽力がないので、いっぱい塗り重ねないとキレイな白に発色してくれないのです。で、裏技として広く知られているのが「銀を混ぜる」という手法。当然これをやると白ではなくてグレーっぽくなるのですが、銀はめちゃくちゃに隠蔽力が高いので、あっという間に「まあ白だな」というくらいにはなる。これを白だと言い張るもよし、下地として使ってから最後にピュアな白を上からかけることで発色させるもよし。どちらにせよ爆速で「なんか白くなったな」という実感が得られるテクなので覚えておきましょう。

▲GXのクールホワイトはたぶん模型屋さんで買えるもっとも隠蔽力の高い白です。これに銀を2滴くらい混ぜて吹きます。
▲エアブラシ必須テクなのですが、一発吹きで驚きの白さ。
▲焼き鳥屋の仕込み状態。ガンプラって本当にパーツ数が多いし、動くところの塗装がたいへん。

 白くなったウォドムを組み上げて、うーむと唸る。カタチが定まってきたシド・ミードの気持ちになります。よし、カラーマーカーの出番だ。

▲「シタデルのシェイド三銃士を連れてきたよ!」「シェイド三銃(以下略)」

 シタデルカラーのシェイドというのはシャバシャバで透過性のある塗料。名前のとおり、スジボリやパーツのスミに溜まることで影色になってくれます。つや消しの面なら面を染めるようにも使えるので、プラモの常識とはちょっと違ったニュアンスを付けるのに使えます。

▲やー!!

 脳内でシド・ミードがささやきます。

 「左上から青、右サイドから紫、地面からはオレンジの光が反射しているのじゃ……。」

 そのように、白いウォドムを染めていきます。

 シド・ミードはこの世を去り、いまはタンホイザーゲートのブラックホールの底から湧き上がる光の渦をその目で見ているのでしょう。この世に生きながら未来を見ることができた男のデザインが、ちょっとアレンジはされながらもこうして立体になったこと、これをみんなが嬉々として作っていること。とても素晴らしいことだなぁと思いつつ、私も次のプラモへの旅へと出ることにします。

 デザインとしての立体物を白いカンバスに見立て、3方向から別々の光で照らし出すように作るラフスケッチの如きガンプラ、みなさんも作ってみてください。ぜひ。

<em><a href="/author/kalapattar/">からぱた<br></a></em><a rel="noreferrer noopener" href="https://twitter.com/kalapattar" target="_blank">@kalapattar</a>
からぱた
@kalapattar

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。