

知らなかった。こんなに「宇宙」を感じさせるデザインの変形ロボットがあったなんて。時代を越える力を持った名曲や名著がストリーミングで享受できるように、ロボットデザインだってプラモデルで耽溺できてしまう、そんな時代。マックスファクトリーのSPEX07ブラスティーは、80年代という未来からのプレゼントだ。

初プラモデル化されたこのブラスティー、デザインとしてはさまざまな文脈を踏まえたうえでの「2025年マックスファクトリー版」とも言える内容。まず86年発売のRPGがあり、ホビージャパン誌の連載企画があり、マックスファクトリーのガレージキット版があり……そんな歴史が、流れが、説明書の1ページ目から熱っぽく解説されており大変読み応えがある。
そんな説明書で特に興味深いのはプラモデル化にあたって検討されたリデザイン作業のイラストや指示がバシッと掲載されていること。それを踏まえた上でパーツを手にすると、ディテールのひとつひとつがまるでテクノミュージックにおけるドラムマシンの音色のようだと思った。個別の音色にエンベロープやエフェクトが細やかに設定され、その重なりでナイスグルーヴが生まれている。ライナーノーツのような機能を持った優れた説明書だ。

組み立ては基本的にスナップ方式なのだけれど、スナップ方式が苦手とする部分、例えば左右に割れた細すぎる砲身の先などは接着が必要なポイントとしているのが独特だ。これによって無駄なラインの入らないスマートな砲身が完成する。

球体型の推進装置「ラウンドグローヴ」は組み立てとギミックの気持ちよさ抜群。本体との接続軸に対して45度の角度がついた半球が回転することによってスラスターが自由自在に動くので、完成後はグリグリ遊んでしまう。F-35Bの推力偏向ノズルとトポロジー的に同じではないか……!分割と色分けも幾何学的で目に楽しく、よく考えられている。

変形する腕部は非人間的な多重関節を少ないパーツで破綻なく立体化していて、見たことのない構成を楽しめる。この辺りはガンプラのRG(リアルグレード)に通ずるような、小さいながらも設計と精度の良さを感じた。わずか2パーツで組める非変形パーツも付属していて、「半チャーハンラーメンを頼んだら餃子までついてきた」ぐらいサービスがよい。

ブラスティーのスマートさを象徴する主翼/脚部は、分割で微妙な面構成をうまく表現していて「パネルで構成された船体」っぽさがある。突き合せたパーツの分割線が山に来るので、カドが出てキリッとした印象だ。


完全変形するあたりガンプラライクな組み味もあるが、全体的にデザインの流麗さを尊重していて色分けは必要最低限。なのでそのぶんの余白を楽しめるキットではないだろうか。ここからデカールを貼って、塗装をして、さらに情報量が増えたらどこまでカッコよくなってしまうんだろう!という期待感しかない。