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組んで遊んでイライラするプラモデル/「面白さ保存の法則」をハセガワの10円ゲームに見た。

 レトロ自販機の模型で大モテにモテているハセガワが次に世に問うてきたのがレトロゲームのプラモデルです。10円ゲームと言って通じる世代はすでにアラフィフ、私が生まれたときにはリアルマネーが盤上に踊るゲームはなかったと記憶しています。プラスチックは5色。組んだだけでノスタルジーのど真ん中に連れて行ってくれるのはわかりますが、ノスタルジーって当時を記憶していた者の特権じゃないかなと思うわけです。

 しかし第二次世界大戦の戦車や戦闘機、艦船のプラモデルを作ってウームと唸っている戦後生まれの私の感情は当然ながらノスタルジーとは違う何かであり、例えば『モヤモヤさまぁ~ず』を見てレトロゲームのままならなさとその暴力的な佇まいを見て笑う自分にも、このプラモデルを愛でる権利はあると思うのです。

 プラスチックの弾性をうまく利用したギミックにより本当に10円玉を模した小さなパーツをカチンカチンと飛ばして遊べるのもすごいのですが、私がハコを開けていちばん驚いたのはこのオレンジ色のランナーですよ。かねてよりハセガワの自動販売機プラモデルシリーズにスターシステムとして搭乗していたキャラクター「アツアツネコ舌焼け太郎」がトロフィーとして刻み込まれている。しかもメタリックオレンジにメッキ加工されている。コスト大丈夫か。

 コインはツルツルなのか〜と思って裏返すと、めちゃくちゃシャープに「10」の刻印が刻まれています。直径は実測で3mm。ニッパーで切り出すとパチーンと飛んでいくかもしれませんから皆さん注意して下さい。ゲームで遊ぶ前にコインが無くなったらこのプラモデルの価値は失われてしまうぜ。

 シールとクリアーパーツとカラーのプラスチックが重層的に組み合わさってできる風景はまことに豊か。しかもこのプラモデル。直径3mmのコインを実際に左右6つのハンドルをパチンパチンと弾くことで遊べるのです。組んだ上に遊べる。プラモデルのネクストステージ(いや昔のプラモデルはだいたい動いたり遊べたりしたよな、とか。ちなみに私が生まれて初めて買ってもらったプラモデル状の物体は尻尾を上下させると茶色い糞が出てくるシカの組み立てキットでした)。

 こればっかりは動画じゃないとわからないので遊んでいるところを動画に撮りましたが、最高にイライラします。リアルな10円玉の重みやレバーの引きシロも含めて何もかもが縮み、とても「当り」に入らなそうなこのアソビが実売1000円ちょっとで手に入るということがオツであり、しかも組んでいてちょっと面白いのがシャクです。年末年始のパーティーゲームとして、猛烈に有用なプラモデルであることは間違いありません。現場からは以上です。みなさんも、ぜひ。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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