
わたしがA-10を初めて知ったのは、往年のSLG『大戦略』だった。ゲームの序盤から比較的安くで生産できて、特異なシルエットから放つガトリング砲で敵地上兵器をなぎ払う姿をよく覚えている。ただ大戦略でA-10は花形になりきれなかった。都市を占領して使える軍資金が増えれば、A-10は戦闘ヘリによる物量作戦に取って代わられる。A-10はいつも戦場の名脇役で終わってしまい、わたしのなかではまさに「記録よりも記憶に残る攻撃機」だった。
ハセガワの1/72A-10Cを手に入れたのは、近所の模型屋の閉店セールでだった。しかしいざ組むとなると、想像以上に解像度が低い。「A-10ってどんな戦闘機だったっけ?」。ああでもない、こうでもないと調べるうちにハセガワがUAV仕様のオリジナルのA-10をキット化していることを知る。空想兵器なら自由にやれる、腹が決まった。

ハセガワのA-10を作っていて最初に気づいたのは「兵装のスカスカ感」だ。説明書通りに組むとなにがどうあっても物足りない。しばしランナーを眺めていると、説明書に「このパーツは使いません」とある箇所に大量の爆弾パーツが残っていることに気付いた。そこで余剰パーツを切り出し、A-10の実物画像を参考にすべてのハードポイントを埋めた。唯一付属していなかったECMジャマーだけ、同じくハセガワのエアクラフトウェポンから持ってきたのは小さなコダワリだ。
UAV化の要でもあるキャノピーの改修は山場だった。風防を外し、どう塞ぐか。イメージはあるが、適した部品が見つからない。三日ほど考え続けた末、画像検索でたった1件ヒットしたなかにヒントはあった。「カニスプーン」。善は急げと近所の100円ショップに走る。物は試しと被せてみたら奇跡的にピタリとはまった! さらには被せたヘッドの重みがちょうどよく、機首側に重りを入れずとも尻もちをつかなくなったのはありがたい偶然の産物だった。

大戦略のなかではただただ青かったA-10を今回はスプリッター迷彩にした。A-10に関する知識が大戦略で止まっていたからこそ自由にやれた。ゲームの盤上で戦場を駆け巡ったわたしのA-10は、わたしのなかだけにある。

庭の砂利のうえに置くと、迷彩が周囲に溶け込み見えなくなった。これには正直驚いた。何事もやってみないとわからない。偶然に左右されながらも「やってみたい」という思いにだけ忠実に作ったオリジナルのA-10。自分だけの誕生秘話である。