

1976年にタミヤから発売された「アメリカ機関銃チームセット」は、70年代のMMを代表するフィギュアキットの傑作です。フィギュアの芝居の濃さ、機関銃や迫撃砲のピリッとした精度、どこをとっても惚れ惚れするほど素晴らしい……!
今回改めて1976年に発売されたMMのラインナップを見てみたわけですが、まあこれが惚れ惚れするほど脂の乗った展開。車両だけでもSASが使ったピンクパンサーや、イタリアの突撃砲セモベンテ、ブレンガンキャリアーにLRDGシボレーといった、語り草になる名作がズラッと並んでおります(ちょっとイギリス軍に偏っている気がするけども)。またハーレーのWLA45を立体化した「アメリカM.P.セット」や、以前ここでも解説した「日本陸軍歩兵セット」など、小粒ながらシビれるキットも登場。MMのバイブスがガンガンに上がっていた時期だったことがわかります。


そんなシリーズのテンションを反映したかのようなキットが、この「アメリカ機関銃チームセット」。機関銃チームと名前はついていますが、実際にはバズーカあり、迫撃砲あり、野戦電話ありという内容で、「第二次大戦中のアメリカ軍の歩兵用重火器(あと野戦電話)詰め合わせ」という雰囲気。ちなみに迫撃砲のクルー2人と野戦電話をかけてる人は同年に発売された「M21モーターキャリアー」のキットについているのと同じ人たちです。

というわけで中を開けてみると、大ぶりのランナー2枚の構成。タミヤのフィギュアキットといえばフィギュアのランナーと装備品のランナーに分かれていることが多いですが、このキットではフィギュアのパーツとそのフィギュアが操作している火器のパーツが一緒になっております。わかりやすい。




パーツを細かく見ていくと、これがもう今でも全然通用するくらいキレキレ。どことなく劇画っぽい服のシワの彫刻もイカしてますが、反対に機関銃や迫撃砲などのパーツは金属っぽいシャープさが目を引きます。そして驚くべきはそのサービス精神。迫撃砲の弾が入ったケースや予備の砲弾、特に誰に持たせるという指示のないトンプソンサブマシンガンなどが付属しております。「余ったパーツを使って情景を作るんだぞ」というタミヤからのメッセージが聞こえてくるようです。





組み立てるとこんな感じ。このキット最大の特徴にして1976年のMMのバイブスの高さを感じさせるのが、なんといってもフィギュアの顔芸。野戦電話の彼なんか、アメリカ英語の発音が聞こえてきそうな口の開き方です。M1917機関銃を撃ってる彼も、M2機関銃を空に向かって撃ってる彼も、必死に歯を食いしばっての全力ファイト。M1917に給弾している彼も、戦争映画で見たことがあるようなビックリ顔です。

70年代当時のタミヤMMのフィギュア、特に戦闘中のフィギュアはどれも芝居が濃くて派手めですが、「アメリカ機関銃チームセット」はさらにその中でも特濃。往年の戦争映画や、望月三起也先生のマンガを思わせるような濃度です。この「リアルでありつつ劇画っぽい」というギリギリのバランスは、3Dモデリング全盛の現在では逆に出てこない表現ではないでしょうか。アツさとシャープさが入り混じった造形は、もはや重要模型文化財。古いキットと思わず、一度は組んでその鬼気迫る顔芸を見てほしい一作です。
